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炉辺の風おと

炉辺の風おと

炉辺の風おと

作家
梨木香歩
出版社
毎日新聞出版
発売日
2020-09-19
ISBN
9784620326504
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ジャンル

炉辺の風おと / 感想・レビュー

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kaoru

八ヶ岳の山荘での日々を綴ったエッセイ集。暖炉に薪をくべ小鳥やリスに餌をやりつつ、絶滅する種に思いを馳せるなど自然の声に耳を傾けてきた梨木さんらしいが、そこに父上の看取りとコロナウィルスが日常を壊した日々の記述が加わる。看取りの体験で抱いた問題意識は「現代医療に対する疑問としてライフワークになる予感」がしているそうだ。ナチュラリストであり人間社会や歴史を俯瞰してきた彼女に、その問題意識をぜひ掘り下げて欲しいと思う。とはいえ小屋周りや鳥、植物、小動物といった彼女の「最重要関心事」の記述が愛らしく示唆に富む⇒

2021/04/23

アキ

八ヶ岳の山小屋の炉に薪をくべて火を熾し、森の書斎で原稿を書く。窓の外に鳥が啼き、嵐の夜には木々が飛ばされそうにしなって森の音が聞こえる。東京と山小屋を行き来する生活が目に浮かぶよう。毎週新聞に連載していた文章は、装うこともなく生々しいその時々の思いを伝える。気になった言葉、ふと気づいた思いがけない植物、父の死、読みかけの本のこと。60歳近くになり、背骨の骨折、聴覚の低下などもう若くはない体を、立ち枯れしたウバユリに自らの姿を重ね、人生の最後の一瞬を思い浮かべるようになると、また自然の見え方が変わってくる。

2020/10/23

keroppi

梨木さんの美しい文章の中に、子供の頃聴き慣れた熊本の方言「とぜんなか」が出てきて驚いた。「寂しい」を意味する言葉だが、「徒然なか」と書くそうだ。「徒然」と言えば「徒然草」を想起し、「つれづれなるままに」のフレーズが頭に浮かぶ。退屈な様を言っていると思っていたが、寂しさも意にあるようだ。「孤独であることは、一人を満たし、豊かであること。そして、その豊かさは、寂しさに裏打ちされていなければ。それでこその豊穣、冬ごもりの醍醐味。」コロナの今、染み入る文章だった。

2020/11/06

美登利

好きな場所で丁寧な暮らしをするということ。憧れではあるけれど、ズボラな私には無理だなと思います。冬とても寒い地域は旅だけの短い時間なら楽しめるのだけど。鳥や獣、虫に植物。梨木さんの目線から私も少しだけ八ヶ岳の山荘で暮らした気分を味わえました。お父様の看取りをされて、その最期は現実的で悲しみと憤りがじんじんと伝わってきました。それ以外は冬山の厳しさはあるけれど穏やかでゆっくりとした時の流れを感じるエッセイです。

2021/09/13

よこたん

“地方の道を車で走っていて、路肩にカンナの花が咲いていたりすると、思わず目を奪われる。花そのものというより、その花のあった風景が甦り、一瞬時間が止まるのだろう。” 甘さ苦さも混じりこんだ懐かしさが一気に押し寄せてくるような風景の記憶は、私にもある。パチパチと不規則に薪のはぜる音、ちろちろ時にはボワッと揺らめく焰に、そっと手をかざし、誘い込まれるようにうつらうつらしながら、静かに語られる言葉に耳を傾ける。そんな雰囲気を味わえた。梨木さんの自然への眼差し、日々の出来事、生きることへの思いと願いが綴られている。

2020/11/14

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