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攻撃―悪の自然誌

攻撃―悪の自然誌

攻撃―悪の自然誌

作家
コンラート・ローレンツ
日高敏隆
久保 和彦
出版社
みすず書房
発売日
1985-05-01
ISBN
9784622015994
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攻撃―悪の自然誌 / 感想・レビュー

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燃えつきた棒

進化とは 皆殺し兵器 造るため?  放たれた矢 爆弾の雨 / これも、読みかけで長く積読状態だった本。 ロシアのウクライナ侵攻が目前に迫った今こそ読むべき時だと思い、手に取った。

2022/01/30

riviere(りびえーる)

人間の世界では同種への攻撃は道徳的には悪とされている。はたして動物世界ではどうなのか?「攻撃性は種族保存のため(なわばり争いなど)必要である。」「最も激しい攻撃はいわゆる「窮鼠猫を噛む」のように恐怖が根源にあるものだ。」(臨界反応)「不要な争いを避けるため、儀式化された行動がある」この本数十年ぶりの再読。美しい熱帯魚の激しい攻撃性や雌犬を噛めない雄イヌなど、60年前に書かれた本だがローレンツはやっぱり面白い。私が持っている本は旧版で上下巻に分かれている。この感想は上巻のもの。→下巻へ続く。

2019/12/26

riviere(りびえーる)

私が持っているのは上下巻に分かれている旧版のほう。この感想は下巻(第8章~14章)についてのもの。学生時代以来の再読だけれど、たびかさなる引っ越しでも処分しなかった過去の自分に感謝。再読できてほんとうによかった!昔の自分は「生態学」や「動物行動学」に興味があって読んだ。今の私は「社会構成主義」や「社会心理学」「家族療法(システム論)」について興味がある。その今の私の問いにも答えてくれたことに感動した。自然界は賢く、そして信じられないくらい愚かである。そして多様性に満ち、じつに興味が尽きない。

2019/12/31

roughfractus02

『ソロモンの指輪』での籠の中のキジ鳩間に起きた残酷な描写を思い起こす。嘴のような弱い武器を持つ鳩は牙を持つ狼ほど攻撃性を抑える術を持たない。代わりに鳩は遠く逃げる翼を持つのだが、逃げる場所がなけれ抑えの利かない攻撃性が勝り、弱い嘴で同種を繰り返し攻撃する。著者は攻撃性を動物における普遍性(悪)とし、武器を持つことで攻撃性を抑え、社会が維持可能になると捉えた。一方、ヒトは強い武器を作ることで理性を生み、戦争の代わりに競技や笑いを発明したという見解には、戦前ナチに入党した自己に向けた批判も透けて見えるようだ。

2017/10/15

茶幸才斎

動物の同種個体間に見られる闘争は、土地の効率的利用や外敵を防ぐ強さをもたらす利点により進化した。オオカミなど攻撃力の高い動物では、攻撃前の威嚇行動などが死闘の抑制機能として発達し、更にそれが形式化して個体間の強い連帯(友情や愛情らしきもの)が生まれた。動物の行動進化の延長上にいる人類が、初めて石の斧を持ったとき、何が起きたか。「なんじ、殺すなかれ」という道徳的戒めの無力を示唆し、動物の行動観察に基づく説得力ある科学的知見によって、破滅的殺傷力を手にした人類のあり方を考察した、これぞ古典的名作。面白かった。

2019/05/02

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