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心の概念

心の概念

心の概念

作家
ギルバート ライル
坂本百大
井上 治子
服部 裕幸
出版社
みすず書房
発売日
1987-11-11
ISBN
9784622017707
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心の概念 / 感想・レビュー

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井蛙

アンディ・ウォーホルはかつて「僕を知りたければ表面だけを見てほしい」と言った。心を「身体とは別にどこかに存在する捉えどころのないもの」する考え方は身体と心を対等に考えるというカテゴリー錯誤を犯している、とライルはいう。彼によれば、知性は技能知として、情緒は行動の傾向性として、普遍的仮言命題のような形で記述可能なものである。従来の哲学者たちは存在しない「機械の中の幽霊」を追いかけ回していただけだ。ライルはこうした擬似問題を日常言語の分析を通して解きほぐそうとする。

2017/12/17

293

自己が疑い得ぬものになったのではなく、デカルトの疑い方が悪かったことによって起きた、カテゴリーミステイクをこれでもかとしつこく正していく。  身体性や知覚についてなら、メルロ=ポンティのダイナミックさに比べるとおとなしい印象。入門編にはいいかもね。

2024/01/13

Yoshi

機械の中に心が宿るという考えを否定するための根拠を言語分析という手法を使って行っている。言語分析を哲学の手法として用いるというのは、その後流行ったらしい。しかし、自分の仮説を支持するようにストーリーを作っているだけのように思える。何が説明できるかより、何が説明できないかが大事だと思うが、説明対象をどういう基準で選択したのだろうか。。。デカルトの実体二元論が、心を機械の部品のようで、なおかつ、物質ではないとするのは、確かにおかしな話であるが。でも、心を傾向と考えるのは、行動主義的すぎると思う。

2023/08/08

クスモク

心に対して、我々は誤解している。だから、機械の中の幽霊なる観念が出現する。心とはこういうモノではない、我々の誤解から生まれる。私が理解できた彼の主張はごく僅かだろう。そもそも、心は俎上に載せるべきモノではないのか?心を積極的、肯定的に捉えている論文を読みたくなる。

2020/09/23

MerkMizu

哲学の認識論や心の記述は擬似機械論に支配されている。ライルは擬似機械論や二世界説を批判する。物理世界に属する身体が物理法則によって支配されるのと同様に、私的な心の領域で起きる出来事も別の法則によって支配されている、というのは間違っている。日常の言語を分析すれば、そのような自分以外の誰にも触れられない「私的な領域」を想定する必要もないし、そもそもそこは出来事や事象が生起するような「場所」でもない。『哲学探究』と同じく、読んでいると言葉に対するセンスが磨かれる。そして、自分でも考えてみようという気になる名著。

2020/06/14

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