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波 (ヴァージニア・ウルフコレクション)

波 (ヴァージニア・ウルフコレクション)

波 (ヴァージニア・ウルフコレクション)

作家
ヴァージニア・ウルフ
Virginia Woolf
川本 静子
出版社
みすず書房
発売日
0000-00-00
ISBN
9784622045052
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波 (ヴァージニア・ウルフコレクション) / 感想・レビュー

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ケイ

『オーランドー』で、凍ったテムズ川が氷解し濁流となって海に流れ込む描写に圧倒され、行きつ戻りつする語り方に興味がわいた。ならばそんな語りをまさに『波』という作品で触れてみたいと思った。昨夜に手に取った時は、頭の中を流れていった言葉たちが、今朝の光の中では活き活きとしていた。朝の陽射しを浴びてよせては返す波たち。そして、夜の前の暗さと静けさ。その中にスーザンたちも埋もれてしまい…、なのに語らないパーシヴァルだけが、蹄の音高らかに、髪をなびかせ、駆け抜け、そして馬から遠く飛ばされるのが鮮やかに見える。

2019/11/12

みあ

ウルフの最高傑作。ある6人の男女の人生のモノローグを朝から夜にかけての波の動きにたとえたもの。私達の自我は自分達で思っている以上に脆くて儚い。時間が経つに連れ幼かった私達は遠くに流され離ればなれになる。寄せては返す波のように…。私は私であってあなたではない。その言葉はなんて虚しくて意味のないものなのだろう?私達の生以前は一体であったし、私達の死以後もまたしかり…。それでは生と死を隔てるものとは何だろう?あなたとは何者なのか?ウルフの問いかけが私の胸に刻み込まれ、繊細で豊かな死へと向かう。

2020/01/25

たーぼー

六人が各々の略伝を披露し、これが幾通りもの言葉に喩えられ、行進となって押し寄せる。でも彼らの、彼女らの、人生観を突き放して見つめた場合、この多面的性格を帯びた内的パノラマは、一定の形を保つハーモニーとは限らない。諦観の中に陽光を見るとき、陽の高く昇る場所へ出たいのか!と気付くし、陽がやがて沈むとき、そこにも閉ざされた人間の心を開放する扉が待ち受けているのか!と気付く。そのどれもが真であることを本書は証明する。同じ様に、砂浜に描いた『生』と『死』の文字もやがて打ち寄せる波にかき消され、又、くり返すだろう。

2016/12/28

miyu

まるで寄せては返す波のような群像劇か。いや実は一人の人間の多面性の呟きのようでもある。真っ暗な舞台の上に飾り気のない様子で立つ6人の男女。互いの言葉に被せるように心情を吐露する様が目に浮かぶ。口々に絶え間なく。バーナード、ネヴィル、ルイス、スーザン、ジニィ、ロウダ。そして6人の口から語られる伝説のパーシヴァル。誰もが皆私たちの中にも潜んでいるのだ。若い頃に読んだ時にはまるで気にも止めなかった(気づかなかった)部分に強く心囚われた。消え行く寸前の彼らの言葉に。波の始まりと終わりに身が震える。素晴らしかった。

2018/01/04

みあ

甘美な夢を見たあとのような不思議な感覚が私を捕らえる。小説というより、詩を読んだような、絵を見たような、音楽を聴いたような。この小説を読むには、全ての感覚の記憶を総動員しなければならない。無意識の中に引きずり込まれそうな、意識の流れを、つかまえなければならない。私は全人類であり、全人類は私であるような感覚。「自分の悲しみではなく、私達の人生の理解しがたい本質を抱いて」生きる。

2016/11/03

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