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地に呪われたる者 (みすずライブラリー)

地に呪われたる者 (みすずライブラリー)

地に呪われたる者 (みすずライブラリー)

作家
フランツ・ファノン
Frantz Fanon
鈴木道彦
浦野衣子
出版社
みすず書房
発売日
1996-09-01
ISBN
9784622050049
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地に呪われたる者 (みすずライブラリー) / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

実は劇場版PSYCHO-PASSの登場人物が読んでいた本だったのでとてもミーハーな気持ちで読んだ本でした・・・。確かに「外国人ではなく、知的エリート層に支配がシフトしただけ」で現地の人々が自ら、政治を確立できるはずもなく、海外からの「法の導入」という一種の植民地主義をテーマにしていた劇場版PSYCHO-PASSで皮肉で引用されるのには、あまりにも似つかわしい内容でした。第三帝国確立後による開放の反動はアパルトヘイト後について描いた、ゴーディマの『ジャンプ』(岩波文庫)やクッツェーの『恥辱』を思い出します。

2015/02/04

フム

今年最後の大物を読了。『褐色の世界史』読書会の関連本として、どうしても読みたかった。1961年12月ファノンは36歳の若さで亡くなった。これは白血病に冒されその闘病の中わずか10週間で執筆されたものだという。アルジェリア革命のスポークスマン的役割だったファノンが最後に植民地体制の中で虐げられた人々を鼓舞する、魂の叫びをこの本全体から感じずにはいられなかった。私たちは、いかに西欧的な見方に慣れてしまっていることか、それをこのように指摘されて気づく。そして、教科書で習った文明開化の意味を改めて考えてしまった

2018/12/21

吟遊

36歳であまりにも生き急いだ死と思われる…けれど、その生き方がとてつもないエネルギーと魅力をも発散している。ポスト・コロニアル批評の原点と言われるのもわかる。アルジェリアの植民地政策に抵抗する現場で戦い続け、現場を知り、かつ俯瞰的に眺め、平静な文章を綴り、根本には情熱を忘れない。名著。

2018/01/18

Masashi Onishi

いかに読むべきか。しばらく読み進めると読者は気付く。読んではならない、聞くべきだ。ナイフのように冷たい論理は暴力を無謬化する。聴衆は、ファノンのヨーロッパに対する冷徹な視線に我が身を凍えさせながらも、クシャクシャになったパンフレットの檄文に火傷することを恐れてはならない。帝国主義は悪魔の歴史となったのか。この奪う政治は、今では資本主義の仮面を被りながら、善人面して闊歩してるのではないのか。ファノンの弾丸のような言葉は、21世紀になった現在でも我々に致命傷を与えるのに十分なのだ。

2015/03/10

えふのらん

FLNプロパガンダ。新左翼がこれから天啓を受けたとか、サルトルが序文を書いたとか、序盤の西洋的本質に洗脳され膠着化した我々には筋肉の夢で応えるしかない等々の記述から扇動的な内容を想像していたのだが、意外に理知的な内容で驚いた。留学エリートと文化の関係について、西洋に留学したエリートには実務が不足しているから役に立たないし、それに西洋との比較からアフリカの文化に彼らは幻滅していると自虐的に書いているあたりは、プロパガンダとしての価値を自ら貶めようとしているようにすら見える。独立しても宗主国が

2015/10/02

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