判決
判決 / 感想・レビュー
たーぼー
黒い中央の憂鬱の周りを神々への赤いはなむけの言葉が這いずり回る。彼は日本到着時、スチュワーデスの『サヨナラ』に反応し異教の証を認める男であり、税関にて小柄な娘の死を願う男であり、くさい茶番たる審判中に口角泡を飛ばす裁判官を錯乱を孕んだ冷静な眼で凝視し判決を待つ男でもある。拷問の道具について語るのもいい。さてこの御都合主義的、分裂症的な凶器をどう読んだらいい?そこにイマージュと呼べる定着はあるのか?否、これこそが複雑かつ綿密な構成であると認めざるを得ない。サルトルの予言をなぞるとか僕には解らないけども。
2015/10/10
阪口まな
ドストエフスキーが好きな人に『罪と罰』をすすめられて読んだ。2ヶ月後にたまたま手にとった哲学書で知ったサルトルはドストエフスキーの著作を引用し実存主義の出発点と言った。実存主義が気になりニーチェを続けて読んだ。サルトルに丸裸にされたジュネはニーチェ主義者だった。なんだがぐるぐるまわっている。
2020/09/30
シン
『私は私の人生について本を書いている。日本に行った旅の話で始まる。私は複雑な入念な形式を選んだ。中央にひとつのテクストがあり、それはそれで続いていくが、余白には別のテクストがいくつもあって、中央のテクストを横断し、延長し、豊かにしていく』。初めてみる形式にとまどいながらも、ジュネのパガニスム、宗教感、犯罪感を何度も何度も咀嚼し、飲み干す。訳注を読むと本作品の濃密さが一層増し、胸に迫るものがあった。何度も読みたい作品だ。
2015/11/22
笠井康平
「私はいた、そして私はいなかった」の「私」と「〈私〉」の在り方は、ウェブブラウジングの感覚を完璧に先取りしていた。
2012/12/03
瀬希瑞 世季子
インターネットは「判決」の言葉で溢れている…
2022/08/18
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