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人間をみつめて (神谷美恵子コレクション)

人間をみつめて (神谷美恵子コレクション)

人間をみつめて (神谷美恵子コレクション)

作家
神谷 美恵子
加賀乙彦
出版社
みすず書房
発売日
2004-11-16
ISBN
9784622081821
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人間をみつめて (神谷美恵子コレクション) / 感想・レビュー

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Gotoran

20歳代に結核を、40歳代に癌を、そして60歳近くで狭心症を患い、精神的にも肉体的にも疲労していたにも拘らず、常に思索と行動の人であった著者の雄姿を伝える貴重な記録。家庭の主婦としての煩雑多忙な日々の中、瀬戸内の小島、長島愛生園に通って、悲運の底に喘ぐ人々に差しのべられた献身的な慈愛がひしひしと伝わってきた。人夫々が背負った避けがたい宿命を受け入れ、耐え忍んだ後に差し込む一条の光、生命力の不可思議さ。神谷美恵子の在り方は広く深く普遍的で偉大だ。

2014/04/15

みねたか@

いのち,生き方に関する論考,長島愛生園での活動日記,入所者への書簡の構成。幾度も死を意識する大病を経験し生きている喜びに感謝しながら天命に応えようとした人。「なぜ私たちでなくてあなたが?あなたは代わって下さったのだ」との思いでらい患者と関わった人。人間の価値はその情緒面のあり方によると信じ,穏やかに謙虚に人々の声に耳を傾けた人。娘,妻そして母として惜しみなく愛を注ぎ,大きな愛を受けた人。本書で垣間見える神谷氏の生き方と思いに圧倒され,そしてそのたたずまいの美しさに感嘆する。

2017/09/20

今まで好きな本は共感と憧れで選んでいた節があったけど、神谷美恵子さんの前作を読んだとき、心に命が吹き込まれていくようだった。本作を読んで、前作に引き続き、これはバイブルだと思うほど興奮した。ただ、二部と三部と付録は無くても良いように感じた。死や、身体や感覚を失いゆく、将来を絶たれる恐怖を抱かなければならないこの人たちと比べたら、わたしは何と恵まれていることだろう。今までわたしが苦しいと思っていたのは、全く大したものではなく、ただ弱く幼稚だったのだと思い知らされる。心に宗教性を抱く大切さ。

2014/01/02

Y.Yokota

この本を読んで初めて著者を知る。まずご本人の生涯にいくつもの困難がある中で、反対されていた医療の道へ進んだ事や語学への飽くなき興味などその生命力に驚かされる。ハンセン病療養所である岡山の「長島愛生園」でのことを書き綴った内容は、患者以外の人間にも向けて書かれていて暖かい。ある非常に明るい患者さんのことを紹介していて、「情緒面の寄与」、つまりそのように振る舞う人がいることで周りがどれだけ救われるか、というような事を仰っていた。これは自身の偽善性を疑うような人間にとって何と優しい響きであることか…!

2021/05/23

著者のような生き方はなかなかできるものではない。患者に対する強い使命感と深い思いやりを感じるのにあくまでも謙虚に生きている姿は人間にとって理想的だとさえ感じる。自分も少しでも何か社会や人のために何かやってみたいと思わされる。

2021/04/08

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