誰も気づかなかった
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清原果耶さんが選んだ1冊は?「どんな感情のときにも必ずどこかに導いてくれます」
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年8月号からの転載になります。
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、清原果耶さん。 (取材・文=松井美緒 写真=諸井純二)
清原さんは、4年ほど前に映画で詩を書く女の子を演じて以来、詩集を好んで読むようになった。 「詩ってシンプルで、読む人によっていろいろな受け取り方ができる。その余白に惹かれます」 長田弘さんは、なかでも大好きな詩人。この詩集と出会ったのは、1年くらい前のこと。書店でタイトルに一目惚れしたのだった。 「『誰も気づかなかった』と言葉だけ聞くと寂しそう。でもきっとそれだけじゃないんだろうなと」 その通り、長田さんの言葉選び、文字の配置、ページをめくるとき指先に伝わる感触、すべてが好み。何度も読み返す一冊となった。 「私はこの詩集を必要としていたんだと思います。本当に手に取ってよかった。生きているとどうしようもないことばかりだけど、その“どうしようもない”に理由をくれるような。どんな感情…
2023/7/13
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誰も気づかなかった / 感想・レビュー
旅するランナー
たとえ誤りにみちていても、世界は正解でできているのでなく、競争でできているのでもなく、こころを持ちこたえさせてゆくものは、むしろ、躊躇や逡巡のなかにあるのではないか。この1ページに心震えた。僕は何でできている?
2020/06/25
アキ
ことばは、ことば通りの意味じゃない。ことばで伝えたことや表に出る感情がすべてであれば、そこにある微笑みも、無言も、飄々も、激怒も、悲しみにも気がつかない。ほんとうのことというのは、ほんとうのことなのだろうか。2つにひとつを決めるのは、考えではない。そこに至るまでの躊躇や逡巡に考えはある。何だって正しければ正しいのではない。きみは何でできている?多くの問いが読者に投げかけられる詩集。夜の散文詩では、NY公立図書館の木の椅子が出てくる「図書館の木の椅子」が好み。「街路樹の幻」「一瞬は永遠よりも長い」もいい。
2020/06/20
モリー
長田弘さん詩はいつも固定観念を強く揺さぶります。この詩集に収められた詩からもそう感じました。「考える」とはどういうことなのでしょうか。私たちは生き抜くために常に選択と決断を迫られます。するかしないか、進むか引くか、生きるか死ぬか・・・。このような二者択一の連続とも言えます。しかし、人生に正解などありません。まして、競争で勝ち抜くことが人生の目的でもありません。心はいつも揺れ動きます。「考える」とは躊躇や逡巡しながら生きること。正解のない人生を躊躇しながら、逡巡しながら生きていこう。詩の言葉に励まされます。
2020/08/17
とよぽん
タイトルに惹かれ、作者の名前を見て、新刊?と思った詩集。声に出して読んでみた。決して声高ではないけれども何か、斬り込んでくる力強いものを感じた。「あらゆることは、ただそれだけの / 些事としてはじまる。/ 戦争だって。」「物事は二つに一つでなく、何事も / 二つに一つだと考えないところから、/ 『考える』ははじまる。」そして、散文詩5篇にも鋭いものを感じた。
2020/11/24
けんとまん1007
長田さんの言葉は、わかりやすい平易な言葉が多い。それでいて、その言葉が重なると、限りなく広く深い世界が、顔を出してくる。それが、読む人の心にじんわりと沁み込んでくるように思う。薬に例えると、漢方薬のような味わいがある。だからこそ、時々、思い出してはまた読み返したくなる。人はいろいろな表情を持っているが、その後ろには、たくさんの思いがあることを忘れたくない。
2020/06/22
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