社会学はどこから来てどこへ行くのか
「社会学はどこから来てどこへ行くのか」のおすすめレビュー
大学で社会学を専攻すると就職率が上がるって本当?
『社会学はどこから来てどこへ行くのか』(岸政彦、北田暁大、筒井淳也、稲葉振一郎/有斐閣)
貧困や部落問題など、日本には様々な社会問題がある。そのニュースを目にする度、私たちは誰かと議論をしたりSNSで声をあげたりする。では、その問題を誰が調査して突き止めたのかというと、「社会学者」というあまり存在の知られない人々のおかげだ。
『社会学はどこから来てどこへ行くのか』(岸政彦、北田暁大、筒井淳也、稲葉振一郎/有斐閣)は、日本の社会問題の最前線で調査を続ける4人の社会学者による、社会学のあり方や今後についての対談をまとめた書籍だ。正直に言えば、かなりマニアックな1冊。けれどもいざ読み進めてみるとなかなか面白い。
そもそも社会学とは、貧困、部落差別、労働問題、ホームレスの実態などについて、地道に社会調査を行う学問のことだ。社会で異変が起きたとき真っ先に現地に飛んで、フィールドワークや統計を使って調査・分析を行う。
本書はそんな社会学がどういうものかを詳細に解き明かし、この学問が抱える問題やあり方、今後について語る。内容はかなりマニアックで、素人が読むとま…
2019/2/22
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社会学はどこから来てどこへ行くのか / 感想・レビュー
おおた
人に話を聞いてまとめていく質的調査と、計量して分析する量的調査の2種類があることも知らなかったし、それぞれの調査が抱える難しさを中堅と言うよりはもう第一人者として活躍している方々から聞ける。専門用語は難しいけど、真摯に研究を続けた上で練られた言葉には傾聴の価値あり。量的調査と統計のちがいや、調査から導かれたものがどんな力を持ち社会に影響していくのかなど、分からないながらもわくわくする。社会学にはうさんくさい先入観を持っていたので、それが払拭されそう。
2019/03/30
かんがく
出てくる専門用語は半分ぐらいわからない、でも滅茶苦茶面白い。質的調査、量的調査、学説史というそれぞれの分野の代表者による対談から、社会学というとらえどころのない学問の輪郭が見えてきた。人間の同質性を前提とする経済学や心理学と異なり、人間の異質性を重視し、社会を集団ごとに分類する学問。当事者研究、比較、偏見、研究、統計などどのテーマも刺激的だった。他社理解というものが根本にある。社会学の本をたくさん読みたくなった。
2021/02/07
shin_ash
難解だが、色々考えさせられる良書である。私は社会学は門外漢なので、用語も人物も全く分からない。一方、私は製造業の本社部門(研究開発部門)から事業部に対して「データ分析」を切り口に問題解決を支援している。そういう意味では「お前に現場の何がわかるのか」と突きつけられる日常なので、分からないなりに感じるものがあった。立場としては"計量"に近いところではあるが、実務の多くでは問題の発見でコケているケースが多いため、"質的"の重要性を再認識している。また理解することと解決することの視点の違いも気付かされた様に思う。
2019/08/13
kenitirokikuti
正統な共産主義者は社会学をブルジョワとして否定してきた。なので、(日本の)社会学業界には共産党の影響がすごく少ないそうな(新左翼はいる)▲家族社会学者が「サザエさん」を引用しても学生が分からない、と。ちびまる子ちゃんでも厳しいし、ワンピースでも20年。まんがの話をすりゃいいってもんじゃない▲社会学の場合、大学1、2年に社会学原論を入門として講義するというパターンは減ってるそうな。「社会調査士」という枠組みに寄っている▲20世紀アメリカ社会学はグローバル化したが、いま社会学自体はしぼんでいる。日本では多い。
2019/01/19
akihiko810/アカウント移行中
岸政彦の社会学者対談。印象度B- ポップな表紙とは裏腹に、学術的で難解で、社会学の素養のない私にはちんぷんかんぷんであった(汗) 社会学云々の話でなく、社会学「教員」が学生に教えるときの裏話(女生徒の扱い方、専門の話をどこまで教えるか)を吐露しているところは読んで理解できたので面白かったけども
2021/03/17
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