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ベルリン1919

ベルリン1919

ベルリン1919

作家
クラウス・コルドン
Klaus Kordon
酒寄進一
出版社
理論社
発売日
2006-02-01
ISBN
9784652077719
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ベルリン1919 / 感想・レビュー

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ケイ

ほぼ100年。この年は、これまでは第一次大戦の終戦の時としての記憶だったが、スペイン風邪がまず頭に浮かんでしまう、このコロナ禍のいま。ドイツのこの時期のことは、まったく知らなかったのだと読みながら痛感した。英仏との戦争に喘ぐ民。水兵の反乱で賽は投げられた。その後の分裂、内戦。きっとそんな状態が続いた後のヒトラーの言葉は、響いたのだろうと思った。表紙や中に挟れた写真がとても雄弁だ。彼らの表情が語りかけてくる。ヤングアダルト向けとは思えないほどの内容。

2020/06/06

はやしま

1918年11月から1919年1月の冬のドイツ、人々の記憶から影をひそめてしまっている敗戦後の混乱期、食料もろくにない中、国を立て直そうと必死に生きる人々が描かれた作品。利発で活動的な少年ヘレの眼を通して、彼が通う学校、議論が交わされる家の様子、意見を異にする皇帝派の家族の友達との関係、ストを始めた水兵たち、使いを頼まれて歩き回るベルリンの街やデモや鎮圧する軍隊の様子、都会と対照的に食料が豊富な田舎の様子など(ヘレ自身の淡い初恋も)織り込まれて当時のベルリンの様子が浮かび上がる。この設定が上手いと思う。

2020/06/17

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

1919年、ドイツのベルリンに住む13歳の少年ヘレとその家族の話。第一次世界大戦が終わり皇帝が追われた「忘れられたドイツ」の年。ヘレとその家族はひどく貧しい暮らしをしている。寒い冬に足りない燃料に少しの食べ物。子供たちは皆飢えて病気。それでも分かれて争う労働者の政治的動きに敏感に興味を持つヘレ達。次は1933年。あのヒトラーが出てくる。ヘレとその家族はどうなるのかな。

2020/06/15

かもめ通信

原題は『Die rotten Matrosen oder Ein vergessener Winter』(「赤い水兵あるいはある忘れられた冬」)。13歳になったばかりの少年ヘレの目を通して描かれる物語は、邦題にあるとおり、1918年から1919年にかけてのベルリンが舞台です。困難な時代に急いで大人になる必要があった少年の物語であり、深く結びついた一家の物語である。時代を生きた人々の群像劇であり、大きな時代のうねりを真摯に見つめた物語でもあると同時に今を考える物語でもありました。

2014/12/08

星落秋風五丈原

少年少女の視点から激動の時代を描くベルリン三部作の第一作目は副題に「忘れられた」とあるように、あまり知られていないドイツ共和国の迷走期間を扱う。誰もがそう信じた国家の中枢は共通の敵を倒した後内部抗争の体を為す。政権交代を体験した日本国民の方が既視感を抱き理解し易い。ルディの息子ヘレの前で交わされる大人達の会話にも次第に理想と乖離していく国家への嘆きが垣間見えるがその心情は容易に理解できる。忘れられた季節を心に留め理想を諦めずいれば、ドイツも日本も幸福に続く真っ直ぐなアウトバーンを過たず走っていける。

2015/03/30

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