自然のちから (中学生までに読んでおきたい哲学 5)
自然のちから (中学生までに読んでおきたい哲学 5) / 感想・レビュー
KAZOO
このアンソロジーには自然という表題にあるように、様々な自然に関する作品が収められています。宮沢賢治の「やまなし」から始まり梅崎春生の「法師蝉に学ぶ」まで作家、学者、詩人など多様な面からの楽しさがあふれています。読んでみるとすでにどこかで触れたものもあるのですが様々な世界を見せてくれます。それにしても下段に絵も入っている注があるのが助かります。
2020/06/01
mm
松田さん編集を読み進めていると、採り上げられている人の範囲が重なっている事に気がつくけど、この人がこんな事を…のような驚きもあって、やはりすごいな。吉野せいさんのことはこのシリーズで知りました。文章に現れる人間性のようなものがあるとしたら、この人のものはとても綺麗で、眩しい。自然を掌サイズの絵葉書とか、旅情とか、自分の楽しみのアウトドアとか、消費の対象にせず見てみよう。非力な自分として、真面目に生きようと、たまには自分を戒めてみる。
2021/05/13
杏子
第5巻は自然について書かれた文章を集めたもの。宮沢賢治「やまなし」から始まって、雑草について、自然と人間、山の自然と精神、人びとの暮らし、神話における自然、人間の想像力における自然の変容、そしてどこかユーモラスな、つくつく法師の鳴き声の自然さなどなど… 全作が個々に連なりあい、ひとつの大自然という物語を見る思いだった。人間は自然の中で生きさせてもらっている。自然と切り離して考えることはできないという感じか。表紙絵のナマズがほのぼの。満足度100%。
2013/04/29
仮ッ子
神話が面白い。ヤマタのオロチが火山活動の暗喩とは…うーん、納得、ウロコが落ちた。アイヌの神話ももっと読みたいなー。すべてが神様で、ミソサザイという小さな鳥すら神。小さな神の大きな勇気。ハラハラしつつほのぼのする。
2012/12/15
暗頭明
「彼等は一斉に棒立ちとなり、クウと高い恐怖の叫びをあげたものです」p.33「春」、吉野せい。「常念を見ろ!」p.85「自分をつくる 抄」、臼井吉見。「山に登るという行動は、頂にまで行かねば終わりにならない。(…)危険を冒してはるばると登りつめた頂である。だがそこにかれらの感情に答えるようなものが、なに一つ見いだされなかった(…)」pp.92「山」、今西錦司。「ナマズ考」、花田清輝。『日本のルネサンス人』が見つからず『随筆三国志』を読むがこれも面白い。「望郷と海」、石原吉郎、いつか全編を読みたい。
2012/12/15
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