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<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性

<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性

<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性

作家
アントニオ・ネグリ
マイケル・ハート
水嶋 一憲
酒井隆史
浜 邦彦
吉田 俊実
出版社
以文社
発売日
2003-01-23
ISBN
9784753102242
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<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性 / 感想・レビュー

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ころこ

読了まで1ヶ月弱かかりました。この本が出版された時代の細かな文脈が興味深いと思います。冷戦は終わっている。9.11は起きていない。ポスト・モダニズムとポストコロニアリズムの延長線上で、古い帝国、国民国家としての近代の新しい帝国とはまた異なる、領域的な概念ではない新しい帝国概念に着目しています。そこにフーコーの議論を補足したドゥルーズの環境管理型権力を資本主義の隆盛に見出した先見的な批評性は優れています。〈帝国〉はグローバリズムとひとことで言えますが、マルチチュードとはいったい何なのか。恐らく属性が多数なこ

2021/06/01

翔亀

【人新世13】斎藤幸平さんをはじめ近年マルクス復権を耳にするようになったので、2003年以来長らく積読していた本書を読んでみた。これもステイホームのGWのおかげだが、休暇をまるまる費やすえらく時間をかけた読書となった。本書の言いたいことはただ一つ、現代における共産党宣言として世界のマルチチュードよ<革命>に立ち上がれ!!、ということだろうが、うーん、それにしては長すぎるし論点が多すぎて、すっきりと、はいそうですか、と納得するわけにはいかない。しかし、近代哲学史を組み替え20世紀世界史を読み替える手捌きは↓

2021/05/07

しゅん

中心を持たない支配としての〈帝国〉。グローバリゼーションは経済だけでなく政治的秩序にも現れているというのが本書の主な主張だが、現状分析としてはナショナリズムの勃興に対するコメントが少なく、片手落ちな印象を持った。マルチチュード、つまり多様性のある群衆を嫌う心象というのはおそらく誰の心にでもあるものだ。多様性と絶対性との(本書の言葉でいえば内在性と超越性との)綱引き自体の分析が行われるべきではないだろうか。完全に読み切れていないので誤読もあるだろうが、どこか夢想的な性質を持っている本ではあると思う。

2018/10/16

またの名

ピケティがブームになるまでゼロ年代に殺人級の必読書として君臨し続けた大著。国家主権や中心にひれ伏す序列や同一性に固執する国民・民族、超越性に奉仕した近代哲学(デカルト、カント、ヘーゲル弁証法)が幅を利かせた時代とは違う、脱中心化された内在的なリゾーム状のネットワークでしか〈帝国〉の管理もそれへの抵抗も考えられないというのが全頁を貫く基本線。体制自体がポストモダンな差異を肯定し人種主義すら社会構築主義を前提する〈帝国〉への抵抗が特異なマルチチュード次第であるからには、本書から何を汲み取るかも各々の読者次第。

2015/04/16

ヒナコ

世界史を世界システム論のようにヘゲモニーの変遷として把握するのではなく、共和的な政体のもとで人々が主体的に従っている統治性の広がりとして捉えている点が面白かった。 マキャベリ—スピノザ—マルクスと続く、支配的システムの中で自らの未来を創り出す「預言的」思想の系譜は独特で示唆に富む。ネグリ・ハートからみればカントや立憲主義すらも統治性を強化される〈帝国〉的権力を補強する言説になるのであるが、現在の野蛮な政治と立憲主義を求める市民の闘いを、彼らの思想史を基に整理できるか否かは、非常に繊細な問題のようにも感じた

2018/04/29

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