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蘇我の娘の古事記 (ハルキ文庫 す 6-1 時代小説文庫)

蘇我の娘の古事記 (ハルキ文庫 す 6-1 時代小説文庫)

蘇我の娘の古事記 (ハルキ文庫 す 6-1 時代小説文庫)

作家
周防柳
出版社
角川春樹事務所
発売日
2019-02-14
ISBN
9784758442329
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ジャンル

蘇我の娘の古事記 (ハルキ文庫 す 6-1 時代小説文庫) / 感想・レビュー

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けろりん

「歴史とは、滅びた者の歴史」だと蘇我の娘は言う。人は物語を求める。生まれ生きるこの世の成り立ちを、自らは何者であるのかを。中大兄皇子が中臣鎌足と共謀し、母帝皇極天皇の寵臣蘇我入鹿を討ち政権を奪取した乙巳の変から壬申の乱に至る中央集権への黎明期、政変に揺れ動く月日と、能筆を認められ国史『大王記』の編纂に携わる渡来人の船恵尺が滅亡した蘇我宗家から密かに救い出し、我が娘として育てたコダマの生涯が、二柱の神の国産みから始まる神話と呼応しながら飛鳥の野に空に哀しくも美しい古事記-ふることぶみ-として豊かに響き渡る。

2023/02/12

だまし売りNo

古事記は稗田阿礼が誦習したものを太安万侶が編纂したとされる。『蘇我の娘の古事記』は、そのように伝わった理由も述べながらもそれとは異なる事実を描く。『古事記』『日本書紀』は中国の史書に比べて権力者を正当化する要素が強く、史料価値が乏しいとされる。司馬遷のような歴史を伝えようという歴史家の反骨精神や良心が乏しい。これに対して『蘇我の娘の古事記』では歴史家の反骨精神や良心が少しは感じられる。

2023/09/04

take5

「蘇我の娘」?と「古事記」?(読みは「ふることぶみ」)って感じですが、想像力豊かに描かれた『古事記』(こじき)をめぐる物語です。時代は乙巳の変から持統元年で、読み進むうちにタイトルの意が明らかになってきます(最後に落ちが付きます)。『日本書紀』(続紀も少し)に出てくる非常に有名な人物や出来事から普通は知らない人物や出来事などと、多くの文献を基にしたもの凄くよくできた物語です。何カ所か超常現象が起こりファンタジー的なのと、擬音語と擬態語を使い過ぎなのが私的には残念ですが、それでも「92点!」という感じです。

2020/11/28

hrmt

周防作品4作目。大王記の編纂に携わっていた舟恵尺が、乙巳の変で蘇我入鹿の落とし胤として救った赤子は盲目で聡耳の持ち主だった。義父の書や語り部の話を覚え、壬申の乱に巻き込まれて愛する者を失う。日本神話をそのまま信じるには無理がある。古い歴史の書は、時の権力者が己を神聖化し、正統化するための創作だろうことも思い至る。けれど、その時代に確かに生きた人々がいて、生臭い政争にも日々の生活にも今と変わらず人の情念が満ちていた筈だ。滅びた者へ思いを馳せ、その思いを後世に伝えようとした人がいた事もまた確かだろうと思った。

2021/12/27

みっちゃんondrums

後半一気に読んだ。以前は大化の改新と称した、中大兄皇子と中臣鎌足による蘇我入鹿の殺害事件を、今では乙巳の変というんだね。その時から壬申の乱を経て、持統天皇の治世まで約40年、まさに激動期に生きた一人の女性が主人公。こういう解釈と描き方があるのかと感心した。見方が変われば、物語も変わる。創作だとしても、素晴らしい物語になっていた。古事記にある兄妹婚の物語に重ねられた主人公たちのロマンスにはキュンと来て、少女マンガみたいだ。と思ったら女性作家なのね。

2021/03/30

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