なかなか暮れない夏の夕暮れ (ハルキ文庫)
なかなか暮れない夏の夕暮れ (ハルキ文庫) / 感想・レビュー
しんごろ
大雑把に言えば資産家の稔の日常と読書という話。稔はけっこう流されるタイプかな。呑気というか。登場人物が多く、短いスパンで、登場人物が変わり場面展開するから、慣れるのに時間がかかる。慣れれば、面白いので読み進めれる。稔が読んでた海外小説の2作品。ラストが気になる。ラストシーンまで書きあげてほしかったな。読んでる途中での電話にインターフォン…。これはあるあるだね。章が終わりまで読まないと落ちつかないよね。さて、物語はというと、男と女、人それぞれ、いろいろある。まさになかなか暮れない夏の夕暮れという感じです。
2020/05/14
ちなぽむ@気まぐれ
読書好きで資産家の稔と、その周囲のひとたちの何ともない日常をくるくると描いている作品なのだけど、何とも心地よい。星を見たいときにふと思いたって見に行けないなら「何のために大人になったのか分からない」と詰ったり、来客の方に「せめて手を洗ってもらいなさい」という教えだったり。親しい人たちとそれぞれ本を読んで「べつべつな場所にでかけていながらおなじ場所にいることの、不思議さと満足と幸福感が高ま」ったり、子どもの頃の夏を思ったり。本を読む生活の幸福感をしみじみと感じるような素敵な本でした。大好き大好き♡
2019/09/01
タカユキ
驚くほど何も起こらない。でもその事により日常のさりげないヒトコマが、とても愛しいものになると感じました。読書ばかりしている浮世離れした資産家の稔をはじめとした、一風変わった登場人物たち。稔の読む作中作のスリリングなミステリー小説が現実と交差する。稔の現実の日常に、その作品が侵食してきて、曖昧に彼の感覚がなっていく。それが読書好きあるあるだと思い、滑稽なのに優しい気持ちになれる。誰にでもある人生の一定期間を切り取ったような物語でした。
2019/08/31
よっち@疲れ目注意☆彡
題名と、表紙絵に惹かれて、衝動買い。ストーリーが、あるような、無いような。詩のように、ラウンジミュージックのように、あたりを漂うように、ゆっくりと進んでいく。始点も終点も、あるような、無いような。短い区切りの話ごとに、物語の主たる人物が変わりながら、全体として、ひとつの大きな流れに合流する。ひとつひとつの話が細切れ過ぎて、人物の相関関係を把握するのに少々手間取る。挿入話の海外ミステリーが中々に秀逸で、北欧ミステリーを読んでみたくなった。読み終わった今、気持ちがフワフワとして、読んだような、読まないような。
2019/10/06
佐島楓
歪んだ恋愛のかたちがいくつか出てくる。ひとは無意識のうちに悪意を垂れ流してしまうものだなとつくづく思う。江國さんの小説はそういうことをあまりにもさらっと書いていて、それが魅力である。
2019/08/26
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