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裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (atプラス叢書 16)

裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (atプラス叢書 16)

裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (atプラス叢書 16)

作家
上間陽子
岡本 尚文
出版社
太田出版
発売日
2017-02-01
ISBN
9784778315603
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「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (atプラス叢書 16)」のおすすめレビュー

シングルファーザーと付き合ったら「お母さん」になるべき? 『出会い系』の花田菜々子が探る、家族のかたち

『シングルファーザーの年下彼氏の子ども2人と格闘しまくって考えた「家族とは何なのか問題」のこと』(花田菜々子/河出書房新社)

「付き合うってどういうこと?」という質問に、しっかり答えられる大人がどれほどいるだろう。相手がバツイチで、小学生の息子を2人育てるシングルファーザーの場合、なおさらだ。その戸惑いを真摯に、正直に綴ったのが『シングルファーザーの年下彼氏の子ども2人と格闘しまくって考えた「家族とは何なのか問題」のこと』(河出書房新社)。『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』で話題を読んだ、花田菜々子さんによる、実録私小説第2弾である。

 はじめて息子さんたちと対話したときの様子に、花田さんの真摯で正直な姿勢が表れている。「お母さん」になる覚悟はないが、彼らをおびやかしたくはない。それでとった行動が「白目で見つめ返してみる」だ。猫なで声で話しかけてつまらない大人として認定されるのを避けたのは、彼らに好かれるためというより、花田さん自身がそういう大人が好きではなかったからだ。花田さんは彼らにおもねるこ…

2020/4/10

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コロナ以前から存在する「女性の貧困問題」――パパ活・風俗・シングルマザー・ネカフェ女子…さまざまな“リアル”を知る5冊

 新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛によって、多くの人が苦しんでいる。収入がなくなったり少なくなってしまった社会人、授業料を稼ぐためのアルバイトができずやむなく退学を考える大学生。みな、先の見えない不安な日々を過ごしている。

「女性の貧困問題」については、コロナウイルスの問題以前にも、多くの書籍が指摘するところであった。

 ここでは、貧困に直面した女性たちを紹介した書籍を5冊紹介し、コロナウイルス収束後の未来を考えたい。

このまとめ記事の目次 ・東京貧困女子。 彼女たちはなぜ躓いたのか ・裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち ・性風俗シングルマザー 地方都市における女性と子どもの貧困 ・証言 貧困女子 助けて! と言えない39人の悲しき理由 ・女子と貧困

『東京貧困女子。 彼女たちはなぜ躓いたのか』(中村淳彦/東洋経済新報社) 『東京貧困女子。 彼女たちはなぜ躓いたのか』(中村淳彦/東洋経済新報社)  本書で描かれるのは、20歳前半の女子大生から50代のシングルマザーまで、幅広い年代の貧困女子たち。本書に登場する女性たちは、一貫して普通で、たとえば…

2020/4/28

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「遠い島のかわいそうな女性たち」でいいのか? 問題の根本にある米軍基地の存在…負の連鎖”沖縄内部の暴力”から彼女たちを救うには?【後編】

『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(上間陽子/太田出版)

 沖縄の女性たちが暴力をうけ、そこから逃げ、自分の居場所を作り上げていくまでの記録を綴った『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(上間陽子/太田出版)。同書に登場する女性たちの身に起こった、貧困や暴力といった問題の根本的な部分には「米軍基地」の存在があると著者の上間陽子氏は説明する。

「私が書いたのは、沖縄内部の暴力です。ただ、その内部の暴力には外野がいる、と思っています。占領軍と暮らす日々ということがどのようなものか、どこを歩いても基地のフェンスがあるという風景に育ち、それを見続けて大人になるということはどういう意味があるのか。これまでに調査した女性たちは、暴力をうけた場所から逃げ出して、米軍基地のフェンスのそばをひとりで逃げていました。私は、沖縄の女性たちがこのような場所にいることを、変えたいと思っています」(上間氏、以下同)

 実は筆者も沖縄出身の人間で、本書に登場する女性たちと同じく、基地の街に育った。同書を読むと、同じ学校にいたあの子は今どうしているだろう、と幾人の同級生の顔…

2017/2/28

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裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (atプラス叢書 16) / 感想・レビュー

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2020/03/08

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家族や恋人、見知らぬ男たちの暴力から生き延びるために逃げ出し、自分の居場所をつくってきた女性6人のインタビュー。沖縄の貧困問題とともに、家族や恋人や知らない男たちから容易に暴力が発動され、少女たちを襲う。キャバクラや風俗店で夜の街を生きるシングルマザーにとって、家族は機能不全で資源にならず、DV、レイプ、望まない妊娠などの問題をひとりで引き受けるしかない。16歳で脳性麻痺の子どもをかかえ、キャバクラで仕事をしながら昼間は看護学校に通い看護師となる鈴乃の「カバンにドレスをつめこんで」。このインタビューだけで

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沖縄の夜の街で働く少女たち。年令を偽り、キャバクラで生活のため働く10代のシングルマザーたち。多くは貧困家庭、ネグレクトなど負の生い立ちを抱えた上、思いがけない妊娠に相談できる人もなく出産を迎える。さらにパートナーの暴力に耐える生活。そこから逃げ出しても待ち受ける貧困生活。読んでいて苦しい。それでもあっけらかんとして明るさを失わないように見える。でも筆者は彼女らのその強がりの下の寂しさ、辛さ、涙を見逃さず、寄り添う。つらい中でも彼女達が自分の子供を愛し慈しんでいる姿にホッとする部分もあった。

2021/11/04

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