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鬱屈精神科医、お祓いを試みる

鬱屈精神科医、お祓いを試みる

鬱屈精神科医、お祓いを試みる

作家
春日武彦
出版社
太田出版
発売日
2017-07-13
ISBN
9784778315849
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鬱屈精神科医、お祓いを試みる / 感想・レビュー

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harass

前作占いにすがるの続き。亡くなった親からマンションを相続した著者はリフォームを依頼する。老いを見据える著者と亡き両親や思い返す記憶や患者たち。口が悪い語りと考察はなんとも複雑で味がある。著者によるとこれは私小説であるという。考えてみると、日本近代文学の主要テーマである「知識人の苦悩」を描いているかもしれない。リフォームのイメージ、読んで驚いたが、その完成品の写真は記載されている施工業者のサイトから見ることが可能であり、出来過ぎな胡散臭さに住む著者の誇らしさが目に見えるようだ。三島由紀夫宅を少し連想した。

2017/11/16

Tsuyoshi

精神科医である作者が、自身の鬱屈した精神に折り合いをつけるべく、生家をリノベーションするなど、鬱屈を生み出す大きな要因である両親(特に母親)へのコンプレックスや囚われから脱却を試みる顛末の話。日々向き合う患者とのエピソードと真意を探られている気がする作者の病み具合もなかなかのものだった。

2017/11/04

くさてる

六十歳を過ぎてさまざまなことに限界を感じ始めた精神科医が決意したのは、両親が残したマンションを自分好みにリフォームすることによって母にずっと感じていた鬱屈を祓うことだった……というその道のりと母に関する思い出、母から感じていた負の影響について語った内容。正直言って、ずっとこれまでの春日先生の本でも一二を争うほどに好きかも。面白さというより、あちこちに寄り道するその文章の中に潜んだ皮肉なユーモアと独特の視点が、なんとも、切ないようでいてどこか不安定で、惹かれる、良い文章だと思いました。

2017/08/05

澤水月

「お祓い」とは母の呪縛を解くこと…で、実家改装!に留まらず心たゆたい…これまでで最も内省深め美醜あらゆる感情欲望経験晒す渾身の文学。どれだけ骨身心削ったかと落涙…。夢見る「浄土」など実に美しい詩情。春日節皮肉ユーモアも炸裂(大樽!滝!20年続く辛辣いファンレ?!)。先般逝去の御母堂への強い感情は第三者が「愛憎」など軽々しく言えぬ…御母堂が遭遇した出来事に絶句。明るく空虚/仄暗く紫煙籠る2種の茶店で読みどちらも合った。美醜、建造物の心への影響は大きい。不調を自覚分析できる精神科医…恐ろしいが今後も読みたい

2017/07/25

パブロ

著者のあとがきにもあるように、これは紛れもない「私小説」だ。それも内的告白で赤裸々な優れた私小説であり、読ませる私小説だ。前作は占いにすがった著者。精神科医なのに、おばちゃん占い師の前で号泣するような衝撃的な告白は今回ちょっと薄れている。でも、幼少期の母親との関係、コンプレックス、現在も引きずっている負の内面に巻き込まれながらも冷静な内面に向き合っている静かな文体にグイグイと引き込まれる。挿入されるさまざまな文献、文学からの引用がまた興味をそそるんだ、これがまた。第三弾は「イタコにハマる」でお願いします。

2017/09/26

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