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ずっと、おしまいの地

ずっと、おしまいの地

ずっと、おしまいの地

作家
こだま
出版社
太田出版
発売日
2022-08-23
ISBN
9784778318239
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「ずっと、おしまいの地」のおすすめレビュー

田舎に暮らす覆面作家、『夫のちんぽがはいらない』こだま氏の乾いた詩情がにじむ良質なエッセイ完結編!

『ずっと、おしまいの地』(こだま/太田出版)

 田舎に暮らしながら、覆面作家として淡々と執筆活動を続けてきたこだま氏。タイトル通りの実体験をもとにした『夫のちんぽがはいらない』は累計23万部を突破し、『ここは、おしまいの地』は第34回講談社エッセイ賞を受賞。彼女はひっそりと、そして孤独に執筆に打ち込み、毎回良作を届けてくれる。

『ずっと、おしまいの地』(太田出版)は、『ここは、おしまいの地』『いまだ、おしまいの地』に続く、“おしまいの地”シリーズ三部作の完結編だ。楽しかったことも辛かったことも、包み隠すことなく書きつけてゆくスタンスはいつも通り。広大な自然に囲まれた自分の居住区を、自虐込みで「何もない田舎」と言うのも相変わらずだ。

 数々のエピソードはいずれも情趣に富む。大学生の頃から、自分の誕生日を旦那さんに言い出せなかった話。母親がマルチ商法にひっかかり、こだま氏が必死で止めさせる話。近所の飲食店でのアルバイトで四苦八苦する話。愛情を注ぎ続けた猫が死んでしまう話、近所に住む女性となんとなく会話をするようになった話、等々。

 本書を書く上でこだま氏が重…

2022/11/13

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同じダークサイドの人間!? きっかけは“読者はがき”『ずっと、おしまいの地』刊行記念対談!【こだま×木下龍也】

 今年8月に、エッセイ「おしまいの地」シリーズ最終巻となる『ずっと、おしまいの地』を刊行したこだまさん。それを記念して、シリーズ1作目に読者はがきを送っていたという歌人の木下さんとの対談が実現! 身近な出来事を短歌、エッセイそれぞれの切り口で発信しているお二人に、お互いの作品について、また“記憶が作品として生まれ変わる瞬間”について伺いました。

取材・文=野本由起 写真=菊池陽一郎

木下 自分では記憶にないのですが、僕はこだまさんの『ここは、おしまいの地』を読んで読者はがきを送ったらしいんです。さっき当時のはがきを見せてもらったら、「同じダークサイドの人間だなと思います」と書いてありました(笑)。 こだま 担当編集さんからその話を聞いて、すごく驚きました! 木下 『ここは、おしまいの地』は、たまたま書店で出合ったのですが、読んでみるとすごく胸に刺さって。書店の企画で選書を依頼された時も、この本をおすすめしました。 ――「おしまいの地」シリーズの第1作『ここは、おしまいの地』は、こだまさんが爪痕を残そうと思って執筆したエッセイだそうですね。 こだま…

2022/10/12

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ずっと、おしまいの地 / 感想・レビュー

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青乃108号

土日の不慣れな日勤帯シフトにあたってしまい、早起きが苦手な俺は極度の緊張のせいでここ2日程1ページも本を読めず、禁断症状が出て苦しかったが明日は午後出勤の遅出シフトなのでちょっと読んで寝よう、と思って読み始めたら一気に読み終えてしまった。好きな作家さんなので楽しみに少しずつ読もうと思っていたのに。「おしまいの地」エッセイのシリーズ完結。今回もしみじみ良かった。これでおしまいなのは寂しい。寂しすぎる。別の題材でエッセイは続けてくれるそうなので楽しみに待つ。

2023/12/18

どんぐり

“おしまいの地”シリーズ三部作の完結編。教職を5年で退職したあとのこだまさんの職歴は、臨時教員、無職、事務所の電話番、無職、高校職員、無職、塾講師、無職、ライター、無職、家庭教師、無職、と無職の〈ペラ草〉(お弁当の仕切りに使われる緑色のギザギザ。正式には「バラン」という)が並んでいる。現在はまた働きに出て、喫茶店でバイトをしているらしい。今回のエッセイもこだまさんを応援したくなるような話が多い。→

2023/04/17

mike

おしまいの地シリーズも3作目。カバーの写真の、どんよりとした曇り空が果てしなく続く中で泳ぐ1羽の白鳥はまるで彼女のようだ。プッと吹き出したくなる絶妙な文章。その裏に不安定さや侘しさが見え隠れする。気負いも外連も無いこだまさんのエッセイは読むほどに私の心にしっくり馴染む。

2024/02/02

おつぼねー

おしまいの地シリーズ完結。前作・前々作同様、言葉の選択や言い回しの技術の心憎いセンスで、飄々としていても浅い感じがしない。ポジティブでもネガティブでもないオープンマインド的なこだまさんの不思議な魅力のエッセイだった。

2023/03/29

シャコタンブルー

何となく寂しくて、何となく暖かくて、何となくまた読みたくなる。そんな読後感だった。父親の病気や母親の健康食品おたくの話にも悲しみだけでなく、そこはかとないユーモアで包み込む優しさがあるので救われた気持ちになる。ケンタッキーの話は最高に面白かった。誕生日を10年間も言えなかった話も驚きしかないが、ご主人の無頓著も凄すぎる(笑)。誰かがその存在に癒され、励まされている日陰にそっと咲く一輪の花のようだ。それにしても表紙の白鳥の写真はこのエッセイとの相性は最高だ。孤高の姿がこだまさんに見える。

2022/10/10

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