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誰でもないところからの眺め

誰でもないところからの眺め

誰でもないところからの眺め

作家
いがらしみきお
出版社
太田出版
発売日
2015-09-11
ISBN
9784778322519
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誰でもないところからの眺め / 感想・レビュー

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内島菫

今日たまたま「私」について次のような言葉を書いた。「何もしない 受けとめてもいない 時も変わらず過ぎ 状況だけになる 眠っているくらいがちょうどいい 何かがおきても夢のようにあればいい あることとないことは本当にひとつなのか 隠していたものが本当にあったのかわからなくなるまで 隠れているうちに人の気配がなくなるまで」書いた後、何だか「私」とはみっともない人間なんだなと思ったが、そのみっともなさも普段の生活では忘れがちだ。けれどもその後、本書や作者によるあとがきの「「私」などどこにもないのは、

2017/01/21

ぐうぐう

震災から4年後の宮城県を舞台とする『誰でもないところからの眺め』。自身も被災した経験から震災後の被災地を描くことを目的としているのかと思いきや、いがらしみきおはその先を行く。主題は遊動民、そして自我だ。不安や予兆を察知するには、常識やしがらみに囚われた「私」を捨てなければならない。安住は、安らぎを感じてこそ安住。そうでないなら、別の安住の場所へと移動すべきなのだ。そのまま受け取れば、これはとても困難な行為だが、いがらしは「私」を「言葉」に置き換えることで、もう少し身近な問題として読者に問い掛けている。

2015/09/28

gelatin

★★★★★ 本の途中で、怖くて続きが読めない、と感じたのは子供の時以来かもしれない。震災以降、「日常」は確かに歪んだ。意識するかどうかは別として。もしかしたらもう、私は私から解離し始めているのかもしれない。誰でもないものたちの群れは、どこへ行き何になるのか。いがらしみきおのこの濃度と感性はある種の病を思わせる。コントロール出来るうちは才能だが。この漫画家を見届けようと決意する。私の方が長生きするなら最期まで。

2015/09/17

501

タイトルを見返すとなる程と感嘆する。震災後の地域で頻発する一部の人しか感じられない細かく激しい振動が、徐々に人びとを変容していく。その変容が多視点的な短い駒割りが有機的に結びつき、読む人の内面に妙に落ち着きのない何かを残す。「私」が消滅した人間の目には何が見えるのだろうか。

2017/01/15

nico

こわい。私いがらしみきおさんはぼのぼのしか存じ上げてなかったのでページを開いてビックリしてしまった。 何かに縛られて本来したい行動がとれない、日常に潜む固定観念を考えさせられる。怖い怖いと読み進めていったが、ラストはなんだかほっとしたような。怖くないような。。。 自分と違う人を否定するのは簡単だけれど、自分を見つめるのは一番難しいのかもしれない。

2015/09/22

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