KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

魔術 芥川龍之介 幻想ミステリ傑作集

魔術 芥川龍之介 幻想ミステリ傑作集

魔術 芥川龍之介 幻想ミステリ傑作集

作家
芥川龍之介
長山靖生
出版社
彩流社
発売日
2018-11-28
ISBN
9784779125430
amazonで購入する

魔術 芥川龍之介 幻想ミステリ傑作集 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

HANA

幻想ミステリ傑作集と銘打たれているはいるものの、トリックやギミックを駆使した狭義のミステリは収められておらず。どちらかというと人生や人の心の謎の様なものを描いたものが中心。ただ編者解説にあるようにどの作品にもここにある世界とはちょっと別のもの、神秘が含まれているように思う。それは後半の異界譚や寓話めいたものに顕著だけど、前半の現実に即したような作品にも多々含まれているよう。鴎外の「高瀬舟」を思わせる「開化の殺人」や「疑惑」には特にそれが感じられる。収録作は独特の光芒を感じれるものばかりで読んでいて満足。

2019/02/08

mii22.

犯罪、探偵、風刺、幻想「解かれざる謎と神秘」の短篇集。中でもたった2頁ながらも幻想色が濃い「沼」が断然好み。昼か夜かもわからない、背丈よりも高い蘆の茂った沼のほとりを歩いているおとこ、その向こうにある不思議な世界に憧れてやがておとこは..。その他では表題作「魔術」迷子の視点でシナリオ形式で描かれた「浅草公園」も幻想色が濃い目で好き。軽快なタッチの「春の夜は」ある男の身の上話にグッと引き込まれていった「疑惑」も面白かった。

2019/06/18

かんらんしゃ🎡

魔術、死後、ドッペルゲンガー、桃太郎、仙人。そそられる題材ばかりの短編集で、さてどんな感想が書けるか自分でも期待しながら読みだした。優しい言葉で書かれているものあれば、ふり仮名あっても理解できない難文もある。寓話的教訓を得ようとしても軽くいなされたり、深読みさせてもらえなかったり。読後は魔術をみせられたようにただポカンとしてしまった。ハスに構えたシニカルな人生訓だけを学びとってきた。

2019/09/29

マカロニ マカロン

個人の感想です:B+。長山靖生氏の編集による芥川の幻想ミステリ短編集。芥川は古典をリメイクした印象があったが、『開化の殺人』、『疑惑』などは正にミステリ。『魔術』、『沼』、『影』などの幻想小説、『猿蟹合戦』、『桃太郎』はNHKの『赤ずきん裁判』や『むかしむかし、あることろに死体がありました』的な展開。特に『桃太郎』は芥川死後日本が中国、東南アジアに侵略戦争を仕掛けていく未来を暗示しているようでもある。『さまよえる猶太(ユダヤ)人』、『おしの』のキリスト教関連の話は意外な気がした。芥川作品のパラダイム転換!

2023/05/26

いの

この短編集のキーワードは「謎」。風刺の効いた作品もあります。私は遊び心を取り入れて不思議な世界に連れていってくれる作品が好きなのでこのアンソロジーは存分に楽しめました。「沼」というお話はたった二頁です。少ない頁の中に果てしない謎。極上の神秘を感じました。タイトルの「魔術」は格別です。入り口からドキドキさせてくれました。欲を出さない人間なんているのでしょうか。欲は生きる希望にもなります。そう考えると全ては夢だったのでしょうか。読み手に考える時間を与えてくれる作品は面白いですしとてもいいと思います。

2019/05/31

感想・レビューをもっと見る