阿呆の王 (Serie Fantastique)
阿呆の王 (Serie Fantastique) / 感想・レビュー
刳森伸一
「親愛王」とも「狂気王」とも呼ばれるシャルル6世の治世下の王宮を舞台にした長篇小説。歴史的事実よりも、王弟のルイ・ド・フランスを始めとする登場人物たちの行動を、欲望や狂気、そして夢などから再構築することを主眼においたロマン主義文学であり、それ故、史実と合っていないところも多い。しかし、そのことは本作の魅力を損ねてはいない。美男子ルイの放埓な振る舞い、ルイに翻弄される多くの女性とその夫や子供たちの愛憎や野心がシャルル6世の道化である「阿呆の王」の悪ふざけと嘲笑によって加速する様は圧巻。
2019/12/08
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