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パリの憂愁

パリの憂愁

パリの憂愁

作家
シャルル・ボードレール
山田 兼士
出版社
思潮社
発売日
2018-10-18
ISBN
9784783727798
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パリの憂愁 / 感想・レビュー

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松本直哉

山田兼士氏の訃報を聞き、彼の訳したボードレールで追悼。それぞれの詩に付された解説それ自体がすぐれた詩人論になっている。たとえばバッカスの杖に指揮棒を譬え、そこに絡みつく蔓に紡がれる音楽を譬えてリストの音楽を称えた詩の、ほめ殺しのような皮肉な調子から、バッカスの乙女に撲殺されたオルフェウスの伝説に言及、芸術の神の死からリストの芸術の終焉を予告したという指摘は、深読みにしても鋭いと思う。確かに、詩人の時代は神々や英雄の活躍するワーグナーやヴェルディから小市民の哀歓を描くプッチーニやベルクへの過渡期だった。

2022/12/10

ターさん

ベンヤミン読破のため、新訳で再読する。まず、気づいたのは題名である。ずっと『パリの憂鬱』とばかり思い込んでいたのに、本書は『パリの憂愁』であった。訳者によると、「『憂鬱』が〈魂〉の状態を示す語であるのに対して『憂愁』は〈精神〉の状態を表す語である」分かったような分からないような。前者は病的な深刻さがあり、後者は文学的な香りがする。ボードレールの印象からすると「憂鬱」か。『パサージュ論』には、「はじめ予定されていた題名は『孤独な散歩者』だった」[J4,1]とある。ならば「憂愁」か。次は『悪の華』の再読する。

2022/03/05

ゆたろう

幾らかのとっつきにくさを想定して読み始めたのだが、実際は普遍的な人生と日常に寄り添った詩の集まりで、非常に馴染みのいい詩集だった。その存在自体も、表出も劇的ではない思索や感情の、その周辺に生まれる内省の劇的さ(これは当事者性に強く依存するので、故に生活の文脈に縛られた言葉では滅多に共有も回収もされない)が、それそのものとは少し離れた描写によってうまく再構築されている。

2019/02/27

🌾

同じじゃあないか。今も昔も。都市に住む辟易さと悪魔的な魅力は変わらないのか。

2021/11/23

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