生きることに○×はない
生きることに○×はない / 感想・レビュー
Momoko Nishikawa
生きのびているだけで、それが手柄 生きがいについて、人間の命をはかりにかける傲慢さという言葉に、しんみりとした、懐かしさを感じた。 100年前の関東大震災と、朝鮮人虐殺に関する証言。「それ以来、国家の名においておこなわれることは単純には信用しない」これは大切な見識だと思っているが、今はどうなんだろう? 36歳で亡くなった画家の最後の絵が、著者の生きる支えになったこと。コトバ、芸術は、人を支える。^_^
2022/12/25
まほ
「生きてきたのは、生きたというより、死ななかったというだけ」…今の日本では「死」を考えること自体タブー視されがちだけど、死をちゃんと考えることが「生きる」ことを考えることにつながるのでは、と最近思う。そんなことを優しい語り口ながら深く考えさせてくれる本。壮絶な体験を語りながらも、生きる意味に固執しすぎなくていいよ、とあたたかく道を提示してくれる感じがして、とにかく今日を生きのびよう、と思わせてくれる。
2024/03/25
読書家さん#VklcIy
この本を読んで、心に残ったこと。 キンジさんという脳の弱い人に、「トリダさん、何が楽しくて生きてるだぁ」 と言われ、愕然とした。作者は、虫のようだと感じる生活をしているキンジさんと自分の楽しみは違うし、お互い分かりっこない。また、自分の生きる事を、単なる生存ではなく人間として意味ある生活をしたいと考えていたが、生きる事に生存と生活の区別はない。キンジさんの虫のような生存だけでなく自分の生存に対して傲慢であったと思った。 「生きのびているだけで、手柄だよ」窪田空穂先生の言葉を私も大切にしたい。
2022/06/27
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