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傑作はまだ

傑作はまだ

傑作はまだ

作家
瀬尾まいこ
出版社
エムオン・エンタテインメント
発売日
2019-03-08
ISBN
9784789736855
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ジャンル

「傑作はまだ」のおすすめレビュー

本屋大賞受賞作『そして、バトンは渡された』の次に読むべきはこれ! 生き別れの息子との共同生活を描く『傑作はまだ』

『傑作はまだ』(瀬尾まいこ/ソニー・ミュージックエンタテインメント発行、エムオン・エンタテインメント発売)

 本屋大賞受賞をきっかけに『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ/文藝春秋)を読んだ方は、ぜひとも最新刊の『傑作はまだ』(ソニー・ミュージックエンタテインメント発行、エムオン・エンタテインメント発売)を手にとっていただきたい。血の繋がらない父と娘がともに暮らすことで家族になっていった前者に対し、後者は、血は繋がっているけれど一度も会ったことのなかった父と息子が、つかのまの共同生活を送ることになる作品だ。

 客観的にみて、主人公の加賀野は“だめ男”である。合コンで出会った美月と一夜限りの関係で子供ができたと知ると「好きでもない女と結婚なんて人生が終わったも同然」と嘆くし、その気持ちを美月に隠そうとする気遣いもない。養育費を毎月欠かさず振り込むのは立派だが(当たり前だが)、かわりに送られてくる写真でしか息子に関わろうとはしないし、20歳になってその関わりが途絶えても、様子を気にするそぶりもない。それどころか、そのまま息子の存在は彼の人生から抜け…

2019/5/25

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傑作はまだ / 感想・レビュー

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starbro

瀬尾 まいこ、本屋大賞受賞作『そして、バトンは渡された』に続いて、2作目です。コミュニティで瀬尾 まいこのBEST本を投票するために読みました。父子再生物語、予想外の展開の感動作でした。私の中では『そして、バトンは渡された』よりも高い評価です。次は著者の最新作『夜明けのすべて』を読む予定です。 https://pdmagazine.jp/today-book/book-review-522/

2020/10/28

さてさて

『すでに三十冊近く本になっているから、印税だけで十分生活できる』という小説家・加賀野正吉。そこに突然現れた彼の息子を名乗る青年・永原智。『しばらく住ませてよ』と、正吉と智の一つ屋根の下での父と子の生活が始まりました。人と人のコミュニケーションを永年自らの意志で絶った自身の生き方に次第に疑問をかんじ、それが少しづつ変化となって現れる正吉の日常が描かれるこの作品。人ってどうしてこんなにも優しいんだろう、人ってどうしてこんなにも愛おしいんだろう、と瀬尾さんの描く作品世界にとても心が温められた、そんな作品でした。

2021/11/16

ウッディ

突如現れた息子と名乗る青年、それは合コンの一夜の過ちの結果できた子供で、25年間、毎月10万円の養育費を払い続けてきた美月の息子、智だった。他人と関わる事を避け、引きこもり同然の作家の生き方を変えて行く。本屋大賞を受賞した前作と同じく殺伐とした状況にも関わらず、瀬尾さんの登場人物は真っ当で、見事なまでにハートウォーミングな物語になっている。肩の力を抜いた美月と智の生き方は、音信不通になっていた両親との関係を改善し、生きる事に疲れた読者に力をくれる。控えめなタイトルながら、とっても面白かったです。

2019/06/01

bunmei

ほのぼのしたストーリーと家族の絆をテーマにした瀬尾ワールド満載の作品。引きこもりで世間知らずの作家・加賀野の元に現れた25年も会ってなかった息子・智は、明るく屈託のない青年。きっと美月が愛情込めて育ててきたのでしょうね。自分とは正反対の性格の智に、次第に心を開いていく加賀野。引きこもり作家には、智の全てが新鮮に見える中で、凸凹父子のちぐはぐな会話が、何とも言えず、心を和ませてくれます。この作品の根底には、人生は新しい扉を開くだけでなく、元に戻って「レプレイもまた良し」ということが流れているのでしょう。

2019/06/20

kanegon69@凍結中

どうしようもない50のおっさん小説作家。こんな鈍感なやついるのかと思うぐらいの酷さ。スーパーKYって感じでしょうか。家族も捨てて引きこもり、ひどい状況。でもここからが瀬尾ワールドの凄いところ。突然やってきた息子の智とのやり取りが実に心地よい。ズバズバ切ってくれるねぇと嬉しくなる。そして予想外の展開と暖かいエンディング。そうか、このおっさん、50にしてようやく止まっていた時計が進みだしたんだね。これから新しく感じた事、大切にし始めた事、きっと大きな肥やしになり、今度は明るい装丁の傑作小説になるに違いない。

2019/06/16

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