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現代思想 2019年11月号 特集=反出生主義を考える ―「生まれてこない方が良かった」という思想―

現代思想 2019年11月号 特集=反出生主義を考える ―「生まれてこない方が良かった」という思想―

現代思想 2019年11月号 特集=反出生主義を考える ―「生まれてこない方が良かった」という思想―

作家
森岡正博
戸谷洋志
D・ベネター
T・メッツ
島薗進
小泉義之
加藤秀一
木澤佐登志
橋迫瑞穂
出版社
青土社
発売日
2019-10-28
ISBN
9784791713882
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ジャンル

現代思想 2019年11月号 特集=反出生主義を考える ―「生まれてこない方が良かった」という思想― / 感想・レビュー

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プロムナード

「生まれてこない方が良かった」という反出生主義には、「直観に反するが論理的にこうだ」という論理ゲームのレイヤーと、「直観的に超わかる(論理どうこうでなく)」ていう実存的レイヤーが重なっていて、このふたつはまったく別の次元にあるという印象。そのなかで、ベネターの論理ゲームに乗ることもなく、「とはいえ現実的にはみんな子どもをつくって育てるんだから」といった妥協(?)にも陥らず、現実の向こう側にある異界(ユートピア)を見つめる、そんな論考が読めたことが収穫でした(木澤佐登志、古怒田望人、逆卷しとね)。

2021/06/06

たまい

1. シオラン的な悲観主義(厭世的な痛み)とベネターの論証(論理パズル)とを分けて考えたほうがよいということと、 2. そもそも我々みな出生させられた人間である以上 出生というシステムの外側に立って「宇宙的な視点」あるいは構成的な見解を持つことは原理的に不可能であるということ を、繰り返し認識した。

2020/02/28

endormeuse

べネターに対する内在的な議論が整理されており、基礎文献として有用であることは間違いない。他方で、反出生主義はメンタルヘルスの時代と共振するように(?)象牙の塔の外部における一種のサブカルチャー的な現象として受容されていることもまた等閑視できない事実であり(反出生主義やantinatalismでtwitter検索すれば雰囲気が掴めるだろう)、そういった状況論というかメタ議論のほうにももう少し紙幅を割いてほしかった。その意味で、あえて実存的な視点にも踏み込んだ森岡・戸谷対談や木澤エセーはたいへん面白かった。

2019/11/03

mikky

『反出生主義』に興味を持って購入。とは言え、きっと語られるのは表面的なものなのかな…と思っていたのですが、冒頭の森岡正博先生の言葉にとても胸打たれました。『生まれてこなければ良かった』と主張するベネターはやはりどこか分析哲学の知的ゲームとして捉えている面がある気がする。けれどこの問題を実存的な自分の問題として抱え込んでいる人たちにとっては、強い言葉を使うと自分たちが侮辱されているような気になる——。正しく、という感じでした。この命題の答えは勿論人類が存続する限り出ないのでしょうが考え続けていきたいです。

2023/09/15

jjm

存在していないものと存在しているものを比較する点や誰にとっての"よい"か皆が同意した条件でない点で、ベネターの反出生主義は一つの考えというだけであるが、完全に論駁するのは難しいようだ。しかしこんなことを考えるのも人間として生まれてきたからであって、(私は今のところ)生きる目的や理由が特段あるわけではないが、積極的に死ぬ理由もないので、生きていくそれだけ。仏教の一切皆苦、輪廻から解脱を目指す思想とも一部類似点が述べられていたが、これも一つの考えであり真理ではないですね。

2020/02/12

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