カタコトのうわごと
カタコトのうわごと / 感想・レビュー
R子
著作について、翻訳について、書評に短編小説に...と盛り沢山な1冊である。いずれも著者の、言葉と真摯に向き合う姿勢がうかがえる。「ドイツで書く嬉しさ」で書かれている日本とドイツの文芸事情の違いには目から鱗だった。また、日本で若い女性の作品が“ミズミズシイ感性”と評され売り出されることへの違和感に共感した。あと、「翻訳者の門」「ラビと二十七個の点」のツェランの詩の解釈が興味深い。翻訳の難しさと言葉の不思議を考えさせられる。
2014/10/28
rinakko
再読。日本語での初期エッセイ集、あらためて面白かった。おおっ…と引き込まれて読んだのは、「文楽」的な面から富岡文学の特色をわかりやすく読み解く「舞台のある小説」や、『硝子生命論』の書評「人形の死体/身体/神道」、ツェランの詩と翻訳についての話「翻訳者の門」、「ハムレットマシーンからハムレットへ」…などなど。 あと、巻末の「二〇四五年」は、『献灯使』へと繋がっていくような近未来もので、とても好きだ。冒頭、“二〇四五年ともなれば、妻という妻は食パンで出来ている。
2016/01/18
mei
職業柄というのか、複数の言語で生きることについて書かれた文章、中でも女性によるものにはつい反応する。 私も、いわゆる「上手い日本語」や「綺麗な日本語」を信じているわけではないのに、外国語になると俄然びくびくして、ネイティブから「そんな風には言わないよ(つまり不自然)」と言われる可能性を恐れがちなのは、当然といえばいえるが、そこをこそ面白がっていきたいなぁと、多和田葉子を見ていると思う。 ドイツでは、ドイツ語で書いている外国人作家が多くいるとは初めて知ったが、とても素敵だし、勇気をもらえることだと思う。
2019/04/08
gu
身体感覚で言葉を捉える。もしくは、言葉に身体性を感じる。「言葉のアニミズム」とは言いえて妙。
2016/10/14
Nobody1
ひと味違うコトバの感覚。
2013/02/09
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