神話が考える ネットワーク社会の文化論
神話が考える ネットワーク社会の文化論 / 感想・レビュー
Ecriture
息抜きにと思って購入したが、思っていたよりもずっと楽しい読書になった。人間という演算装置が社会の複雑性を縮減するべく神話を夢見、逆に神話に夢見られるというのは何世紀も続いてきたそれこそ一つの神話。著者はそういった神話というモチーフ・神話素の反復を、技術・情報・文化環境の変遷を捉えながら実に魅力的でオリジナルな差異の織り込まれた新たな神話(の一つ)として提出することに成功している。
2010/05/22
第9846号
一気読みしました。まず題目「神話が考える」ということで、作者は主体(人)でなく外界が考えると言ってます。内容ですが、神話は情報処理を行う際の方程式と定義づけています。対象は遠野物語から村上春樹・ガンダムまで、これらの作品を情報処理過程として捉え、神話という方程式を通して、神話素を引き出そうと試みている様に感じました。で、人ですが固定化された主体ではなく、情報(文化)処理過程のノードとして、統合したり分散したりを繰り返す存在、とのことでした。
2010/10/30
白義
現代社会における文化、神話のシステム論的役割を追及した本。柳田民俗学から東方、春樹に西尾維新まで取り扱う対象が多彩だが、論旨には相当一貫性がある。データベースと物語、人間の関係など東浩紀図式の優等生と言った感じだが、最終的に目指す試みはなかなか大きい。特にキャロル論が面白かったが私の読み込み不足の感があるのでまた再読したい。鈴木謙介もそうだが、ここまでくるとマーケティング論的ビジネス書としても使えると思う。ただ、神話の内在的読みなどは射程外なので宗教論とは違うだろうな
2011/03/16
里馬
ほうほう、ふむふむとフルスロットルで読み走ってしまったので【要再読】 精読して「が」である所以を把握したい。結論として、これが今読みたい本だった。
2010/11/12
ハジメ
私の読書遍歴と重なり合うものが多い。だからこそ必然的に浮かび上がる【神話】というキーワードを掲げる本作には心躍るものを感じた。しかし全体的に玉石混交の感じを受ける。網羅的、と表現するにはいささか足りないし、深く洞察しているか、と問われればそんなことはない。これはそれぞれ関連性のあるものを章ごとに区切りちょっとした序論を設けてみた、といった感じでどうにも器用貧乏な一面がある。神話の種を撒くにしても、もう少しアプローチを変えて欲しかった。 この本の読者にはジョーセフキャンベルの『神話の力』をオススメしたい。
2012/03/01
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