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ショールの女

ショールの女

ショールの女

作家
シンシア・オジック
Cynthia Ozick
東江一紀
出版社
草思社
発売日
1994-03-01
ISBN
9784794205414
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ショールの女 / 感想・レビュー

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ペグ

今年も6月がやってきました。東江さんが亡くなられてもう6年!毎年、この時期にはこの「ショールの女」を読んでいます。この作品の心理描写は本当に濃密です。思考と共に時間と場所が移動する。東江さんが何度も推敲を重ねられたというのにも納得です。パースキーがローザの傷を癒し、少しでも過去から解放されることを!!因みに東江さん翻訳のわたしにとってのベスト3は「ストリート・キッズ」「ストーナー」「ショールの女」です。彼が生きておられたらシンシア・オジックの別の作品も訳してくださったでしょうか。惜しまれる翻訳家です。

2020/06/02

(C17H26O4)

『ショール』震えが起こるような凄みがあり、僅か15頁足らずの掌編に言葉を失った。短い文、一文一文がポーランド人ローザの悲しみ、苦しみ、怒りを叫んでいた。ショールにくるみ守り続けてきた乳飲み子を姪が食べようとしていると思うほどの極限状態。収容所で歩き始めた我が子が今日こそ死ぬだろうと覚った瞬間駆け抜けた喜び。鉄条網に我が子が投げつけられ落下し死んだ光景。駆け出して撃たれないようショールを口に押し込んで叫びを呑み下した時間。ショールに染み込んだ我が子の味。これらの場面をローザは何万回リプレイさせたであろうか。

2022/05/27

ペグ

何度も読んでるのに〜又読みたくなる。「ショール」はミア ワシコウスカをイメージして。「ローザ」はキャシー ベイツ。パースキーは断然サム シェパードで。後書きにもあるように東出さんは随分と推敲を繰り返したようだ。「ストーナー」と「ショールの女」は本当に宝物のような作品。

2017/12/23

ペグ

(最初に左の、次に右のおっぱいをしゃぶり、どちらももう一滴の乳さえ湧き出させないと知って、マグダはしかし、文句も言わずにあきらめた。干からびた葉脈、死火山、閉ざされた目、冷気の巣穴。)東江さんの名訳‼︎私にとって大切な一作です。

2017/08/11

GAKU

短編「The Shawl」、収容所を囲う、電流を通した鉄条網に投げつけられて、ローザの赤ん坊は死んだ。1980年O・ヘンリー賞受賞作。その3年後に書かれた中編「Rose」、三十数年後。ホロコーストを生き延びたポーランド人ローザの哀しい人生。こちらもO・ヘンリー賞受賞。この二編が一冊にまとめられた本書「ショールの女」(原題:The Shawl)。二作合わせて130頁程。全編を通じ詩のような文体で淡々と物語は進む。けれども内容は重たい。読み始めた途端、惹き込まれ無我夢中に。気が付いたら読了。凄い作品です。

2016/03/11

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