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パラレルな知性 (犀の教室)

パラレルな知性 (犀の教室)

パラレルな知性 (犀の教室)

作家
鷲田清一
出版社
晶文社
発売日
2013-10-05
ISBN
9784794968128
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パラレルな知性 (犀の教室) / 感想・レビュー

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けんとまん1007

久しぶりに鷲田先生の本を読んだ。成る程なあ~と思ったり、そうそうと同感と思ったり、とてもしっくりとくる。特に、ここのところ、ひかかっていた”専門家”という言葉や”次の世代”に関するところがめいりょうんいなったように思う。狭い世界にも固執し、それ以外は見てみぬフリをし、自分は関係ないというスタンスの人たちの増殖の部分は、わが意を得たりというとこ。一方で変に口出しばかりして、実は何もしない人たちの増殖もある。いろいろと考える材料をいただいたように思うし、何か、やっていきたいと思う。

2014/11/06

Gatsby

鷲田先生は、何種類かの文体を使い分けるが、この本は、簡単な言葉を使って難しいことを表現している。だから、繰り返して読んでも読みやすいし、また理解も深まりやすい。私は、職業柄、クレーマーの人が本来自分も当事者意識を持つべき分野において、「プロ」にぶら下がりすぎているのだという考え方に共感した。もちろん、自分もプロにお任せにしないで、その分野において責任を持ってかかわっていくことを意識したい。さらに、味わいの判る人は人情も判るという話。私は、料理屋さんで、カウンターの向こうにいる人に常に感謝して食べている。

2013/10/27

テツ

自らの立ち位置で、自らの領域でのみ通じるような知性を研ぎ澄まし、それ以外の場所については関与しないという態度はどうなのかなという疑問は、昨今の専門家の方々の提言とやらを耳にしていて強く感じていた。タイトルにある『パラレルな知性』という言葉の意味が重く響いてくる。極々一部のそうした専門家だけの問題ではなく、平々凡々な一般人のぼくたちにも責任の一端はあるよなあ。答えの出ない問題については無理に白黒をつけず、対話を続けてひたすら真摯に問い続けること。一方的な知性は何の役にも立たない。

2022/09/23

かんがく

著名な哲学者によるエッセイ集。リーマンショックから3.11にかけて書かれたものが多いが、もはやこの時代もひと昔前という感じがする。責任を取らない専門家、受動的なメディア、白黒つけたがる世論などに対する批判が中心となっている。責任ある専門家と市民による社会の構築に対して、教育がどのような役割を果たせるか考えるキッカケになった。

2021/04/28

鳩羽

失墜した専門家への信頼は、専門外のことを知らないのを美徳にすら思う専門家や、自分の問題でもあるのにプロに任せっきりでぶら下がってきた市民といった、公的な理性や知性が使われてこなかったために結果として起こったのかもしれない。科学者や専門家、大学、コミュニティのそれぞれの役割を考えずにおられなくなるようなエッセイ集で、読みやすい。易しいけれど、優しくはない。複雑な問題に安易に白黒をつけることや、そのニーズは本当に応えるべきニーズなのか考えることもしない、問題を抱え続けることができる強靭な知性についての一冊。

2013/11/22

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