KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

あとがき

あとがき

あとがき

作家
片岡義男
出版社
晶文社
発売日
2018-10-03
ISBN
9784794970602
amazonで購入する Kindle版を購入する

あとがき / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

踊る猫

片岡義男の書くものを読むたびにその文体(いや「声」か)の力強さ/明快さ/明晰さに唸らされる。彼が英語をベースとして考えているからというのもあるのだろうし、コミックを読む少女たちの姿から小説を平明に書く着想を掴んだ逸話が教える通り根っこの部分で読者を信頼して言葉を投げかけている、その野心とポジティブな態度もまた由来しているのだろう。この「あとがき」集を読み返していると驚くほど彼が初期から独自の文体を生み出し、クリスプな姿勢を貫き続けてきたことを教えられる。彼の文章こそ「他者」が生み出したエクリチュールでは?

2023/02/22

踊る猫

多分片岡義男の中では、書くことと考えることはつながっているのだろう。物事について批評的に捉え、そしてそれについて理知的に考える(その過程で自分の中で「彼女」を召喚させ、自己内対話に励む)。そうして得られたものについて書く。そうすると書いたものが彼の眼前に現れ、彼は読者として彼の書いたものを読むことになりさらに思考は膨らむ。そうしたサイクルを自然体で行っているところに彼の強みがあるのだろうと思う。本を「あとがき」から読むくせのある私としてこの企画は非常に面白く思い、片岡の芸達者(?)な側面を知ることができた

2022/08/12

aloha0307

すばらしい企画の本書☺ 自称 あとがき好き の片岡さん。長文もかなり...ルーツがEプレスリー そしてブルース(ロックンロールでなく)にあったとは驚きです。漢字を少なく、ひらがなを多くして分かりやすく若者受けする作品を...編集者からの言葉で路線転換した第一作があの”スローなブギにしてくれ”(古尾谷さん 懐かしい...)なのです。その あとがき が秀逸 ”小説による もてなし”です☺ ”書き手の頭から言葉を介して読み手の頭へと移植されていく” 物語はすべてそれを読む人のもの、と仰っています☺

2019/04/20

踊る猫

片岡義男は、もしかすると池澤夏樹的な「旅行者」なのかもしれないし、田中康夫的な「風俗作家」なのかもしれないし、思慮深い思想家/知識人なのかもしれないとも思う。時代と同衾しつつ/時代を乗りこなしつつ、しかし淘汰されることなく成熟して生き残って来た。そんなひとりの「遊歩者」(?)の姿がここにあるように思う。固有名詞が殆ど登場しないので、今読んでも全く古臭くなっていないことに驚く。片岡義男が評価されるべきなのはむしろこれからなのではないか、とも思われるのだ。そんな可能性を垣間見せてくれる書物として、大いに推す!

2018/10/25

踊る猫

ここまで言葉にこだわる作家だとは、と(2度目の読書であり、あるいは彼の他の本を読んで知っていたことではあったにしろ改めて)唸らされてしまう。風俗小説を量産していた頃の彼も、実はその当時の出版業界や映画産業の盛衰を睨んで書いていた戦略的な批評家であったことがわかり、それを読むだけでも従来の彼のイメージを刷新するきっかけにはなるだろう。次々とエネルギッシュに本を出していた彼の日記でもあり、書くことがそのまま考えることでもあった彼の思索の歴史をたどる本としても読める。どの考察にも後の仕事に繋がるヒントが存在する

2021/11/08

感想・レビューをもっと見る