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「悪」の進化論 ダーウィニズムはいかに悪用されてきたか

「悪」の進化論 ダーウィニズムはいかに悪用されてきたか

「悪」の進化論 ダーウィニズムはいかに悪用されてきたか

作家
佐藤優
出版社
集英社インターナショナル
発売日
2021-06-25
ISBN
9784797673982
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「悪」の進化論 ダーウィニズムはいかに悪用されてきたか / 感想・レビュー

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trazom

同志社大学での講義の再構成。本書は、ダーウィンの進化論が社会進化論として換骨奪胎され、それが、スターリンやヒトラーに援用された歴史を振り返り、最後は、ドーキンスの無神論に至るというのが柱だが、その本筋以上に、佐藤さんが脱線する数々のエピソード(神学の歴史、ソ連の成り立ち、第一次世界大戦の位置づけ、唯物史観、科学と神など)が何とも魅力的。確かに、偏った解釈もあるが、学生に少しでも多くの知的刺激を与えようとする佐藤さんの教育的配慮が滲み出ていて嬉しくなる。この講義を聴けた学生は幸せだろうなあとしみじみ思える。

2021/10/22

パトラッシュ

ダーウィニズムがナチズムやスターリン主義に悪用されたとは聞いていたが、その歴史的プロセスをここまで明快に説明する本はなかった。人類は進化するとのダーウィンの主張が社会進化論や優生思想を生み、やがて独善的な自国第一主義に成長していくまでをつぶさに理解できた。ニーチェは「神は死んだ」と述べたが、進化論が科学の発展と共に神殺しの凶器に使われたのは確かだ。神が排除されて空っぽになったところへ、進化した優秀な人間こそ至上とするマルクスやヒトラーの思想が浸透していったのだ。20世紀が大量殺戮の世紀になったのも当然か。

2021/08/29

ぐうぐう

同志社大学での集中講義を完全収録した一冊。ダーウィニズムがいかに悪用されてきたかを解説しているのだが、これが講義であることからもわかるように、佐藤優の優先事項は学生達の育成にある。ゆえに、本筋の背景を説明することに多くの時間が割かれ、それによって枝葉が多くもなっている。例えば、進化論を紹介する前にパラダイムという言葉の意味を教えたり、スターリンに影響を与えたダーウィニズムを説明するのにマルクスから始めたりと、丁寧な講義は幾度も脱線を起こす。(つづく)

2021/07/29

テツ

佐藤優さんによる同志社大学での講義録。ダーウィンの進化論自体は別に邪悪ではないけれど、それを生命の進化としてではなく社会の進化に準えて利用してきた独裁者の存在。この世界にはどうしたって悪としか考えられない存在があって、そうしたモノときちんと対峙する力をつけるには、真の邪悪などこの世には存在しませんみたいなお花畑なお話ではなく、まずそうした存在を認めた上での教育から始めなければ駄目なんだろうな。社会進化論的な考え方がベースとなる全ての物事に懐疑的な姿勢でありたいと思いました。

2021/11/24

jackbdc

大学講義の文字起こし。ジャーナリストで神学者である著者が科学と神学の交点を語り尽くす構成。外交やロシアの話題など博識のみならず、現場で得た経験も惜しみなく披露される。古きよき社会科の授業のよう。横道に逸れるような話題こそ楽しくて心に残るみたいな。聴講出来た学生は羨ましい。考えさせられた論点は、個人や社会の愚かさの受容について。本来中立である科学の知見が政治的に悪用される経緯が描かれる。しかしその前段にボトムアップでそれ相応のナラティブが生まれ育つ現実がある。苛立ちをぶつける先は自分達自身なのだろうか。

2022/02/19

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