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琉球奇譚 キリキザワイの怪 (竹書房文庫)

琉球奇譚 キリキザワイの怪 (竹書房文庫)

琉球奇譚 キリキザワイの怪 (竹書房文庫)

作家
小原猛
出版社
竹書房
発売日
2017-03-29
ISBN
9784801910379
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琉球奇譚 キリキザワイの怪 (竹書房文庫) / 感想・レビュー

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夢追人009

沖縄怪談の第一人者・小原猛さんの怪談噺は独特の方言も味わい深く古くからの英知と大切な教訓にも満ちていて誠に「なんぼあってもええ」もんで、どんどん読みたいですね。山の神の祟りは恐ろしく決して疎かにしてはなりません。『キリキザワイの怪』沖縄県北部、八月のうだるような暑さの中、木工店を営む中曽根さんは自分の所有する山の中へと入り木を伐りに来た。その日、材木屋の当銘(とうめ)さんが来て「君のとこのでっかいクロキを幾つか伐採して売ってくれないかね」と頼むが「あれはダメですよ、親父が伐るなと言ってた木なんで」と断る。

2021/01/31

HANA

実話怪談集。沖縄という土地に根差した怪談を読むと、何となく死後の世界や妖怪の幸う世界が日常と地続きになっていうような感覚を覚える。本書もその例に漏れず、キムジナーやマジムン、ユタなどが日常を語るのと同じ目線で語られている。それも釣り人とキムジナーの交流を描いた「釣り人の背中には」や沖縄独特の因縁のある土地「ガンヤー跡地三題」、沖縄の舟幽霊「フナユーリー」等、どれも素晴らしい出来ばかり。怖いだけではなく、土地の持つ暖かさをも読み取れるものばかり。沖縄という土地と怪談が結実した、見事な作品集だと思った。

2017/05/06

ネムコ

沖縄の怪談は、以前ガチ怖&後味の悪い話を読んだことがあって、用心しながら読み始めましたが、小原さんのお話は良かったです。もともと沖縄にはノロやユタがいらして、一般の方も目に見えない世界を肯定しているイメージがありました。この本でもそんな精神風土が窺える話が多くて嬉しかったのですが、ふと気が付くと、そういう話は一昔前のものがほとんどで、ひょっとしたら今は神様やマジムン、キジムナーを信じる人は減っているのかもしれない、と思いました。オジイ、オバアって呼び方が暖かくて良いですね。

2018/05/11

澤水月

シュガーローフに立つ影…今は綺麗な道やモノレール通る地の孕む激戦の記憶。覆い尽くせぬ人々の思いが立ち上る、これぞ怪談が止むことなく生まれる理由そのもの、大文字で語られない貴重な稗史だ。表題のキリキザワイ他キジムナーなども南国的大らかさとはまた異なる理解の及ばぬ恐ろしさ、現地内部から語る迫力見せる。表題作後の鳥居を巡り何代にも亘る一連の綺譚に大泣きした。こんな素晴らしい読後感で終わらせる筆力にただただ感服。また沖縄の人が経験、とはいえユタやウタキなど出ない普通の怪談が却って新鮮でいいスパイス。必読

2017/04/04

かおりんご

沖縄で起こった恐怖体験談を集めたもの。キジムナーや妖怪のような禍々しいものの話が多い。個人的には日本兵とか戦争関連の怖い話が読みたかったので、物足りなさが残りました。未だにユタやノロが生活文化に溶け込んでいるのですね。最後のジーマーの話にはほろりとさせられました。

2017/05/22

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