「超」怖い話 庚 (竹書房怪談文庫)
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「超」怖い話 庚 (竹書房怪談文庫) / 感想・レビュー
澤水月
霊感ありと嘘をついていた少女が成人後、起こしてしまった悲劇「懺悔」。「話を集める中で、時折聴いたことを酷く後悔することがある…胸焼けがするような、所謂「厭な話」に当たった時」、確かに読んだことを後悔するほど息苦しい「埋夢」。向かいのマンションを盗撮する趣味を持つ男性が遭遇した「テストパターン」はアナログ放送時代の未明、“砂の嵐”になる直前のテレビ画面の不穏さ寂しさがそのまま蘇った。中山昌亮の漫画『不安の種』的な絵が浮かぶ
2020/08/13
qoop
信仰、習俗、超常能力、虐待、家族… と緩やかにつながっていく小テーマ群。共通項はないように見えるものの、人・場所・物の秘められた暗部を暴き、染み出す怪異をあらわにする点が、あるいは本書の肝だろうか。中では呪術的なビジュアルで怖気を誘う原田空氏〈釘髪〉、意図しない悲劇か何者かの企みか〈懺悔〉、闇部が一気に浮き上がる〈児字〉、類話は多いがディテールの秀逸さが目を引く松村進吉氏〈失せ物〉、斬新かつ懐かしいビジュアルの深澤夜氏〈テストパターン〉などが特に印象に残った。
2020/07/30
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