KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

悲しみの夜にカピバラが教えてくれた大切なこと

悲しみの夜にカピバラが教えてくれた大切なこと

悲しみの夜にカピバラが教えてくれた大切なこと

作家
瀧森古都
出版社
SBクリエイティブ
発売日
2021-05-22
ISBN
9784815606367
amazonで購入する Kindle版を購入する

悲しみの夜にカピバラが教えてくれた大切なこと / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

そら

動物園のカピバラの中に置き去りにされた少年は子供の心を持ったまま大人になった。保護してくれた園長に大切に守られて、譲二は身近な人たちにもまっすぐな気持ちをぶつけていく。可愛らしい装丁と童話のようなタイトルからは想像つかないような社会問題の連鎖。虐待、暴力、殺人、性暴力…。譲二を中心に登場人物が連鎖して、語り部がリレーのように繋がれていく。号泣の愛の物語…とまではいかなかったが、幸せの本質を直球でぶつけられるような小説だった。目まぐるしい展開に一気読み。カッピーの出生や、園長のエピローグが気になりつつ読了。

2021/09/11

えみ

浄化された。なんて優しい物語なのだろう。残酷で悲しみばかりが満ちている、そう感じていたこの世界。どんな人にも愛を持つことが許されているのだと、誰にでも愛を与えることができるのだと、教えてもらう。生きることがつらいと嘆く人、見捨てられたと世の中を諦めた人々にこの本を開いてもらいたいと思った。綺麗ごとだけで描かれていない感動が、心にじんわり滲んでくる。動物園のカピバラ小屋で保護された男児は、漢字も読めず、計算もできないまま成長する…あれから30年、加比原譲二は哀しみに溺れた人々に「愛」と「幸せ」を贈っていた。

2023/08/14

どぶねずみ

親が子に対して愛情のかけ方がわからないと、子の行動、心を支配したまま子は成長する。その子が親になったとき、無意識のうちに親から受けた支配や洗脳を同様に我が子にしてしまう。子には逃げ道を誰かが作ってあげないと。それに気づいたとき、私は我が子を産んではいけないとどこかで感じた。自分の手で我が子を苦しめそうな気がした。そうか、母が再婚したとき、私は自分の居場所を見つけるために祖母の家に飛び出したのか。普通はあり得ないことだろうけど、私にとっては母親の機嫌を伺っていばかりいた自分と共通する点が多くて共感した。

2021/08/16

ひめか*

親に捨てられ動物園で拾われて児童養護施設で育った加比原譲二。ファンタジーなのかと思いきや、かなりサスペンスが入っていてドキドキ。親に愛情を注がれなかったり、性的虐待を受けたり。みんな親への憎しみの感情が幾つも渦巻いている。譲二はマッチや早紀と同じように親からの愛情を受けていないにも関わらず、真っ直ぐでピュアな心を持っていて優しい。子供のまま成長しているので、無邪気でヤクザとのやりとりが笑えた。生きづらくて相手を殺してやりたくて、生きるのに必死な人々。誰もが譲二みたいな心を持っていたらどんなに楽なんだろう。

2022/01/23

のんちゃん

30年前、ある動物園に置き去りにされた男の子はそこの園長が兼務していた児童養護施設で育ち、その後、小学校校長になった園長の元、用務員としてその学校で働いている。彼は大好きなカピバラにちなみ加比原譲ニと名乗った。譲ニは純真無垢な優しい人間である。その彼の下で起こる数々の事件の話。帯の通り優しい話だった。が、後半はなかなかのサスペンスで放送作家でもある著者の真骨頂。校長先生の言葉が特に心に染みて沢山付箋をつけてしまった。「都合よく考えることができるから、人間は生きていけるんです。生きる術の一つですよ」など等。

2022/12/12

感想・レビューをもっと見る