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人生の謎について

人生の謎について

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作家
松尾スズキ
出版社
マガジンハウス
発売日
2021-09-24
ISBN
9784838731831
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「人生の謎について」のおすすめレビュー

松尾スズキが、エッセイ『人生の謎について』で綴った、演劇の最悪の敵・コロナ禍で奮闘する日々

『人生の謎について』(松尾スズキ/マガジンハウス)

 演劇ファンなら、いやならずとも、「大人計画」という劇団を知っている読者は少なくないだろう。大人計画は、宮藤官九郎氏、星野源氏、阿部サダヲ氏、グループ魂らが所属する劇団で、その主宰を務めるのが松尾スズキ氏。小説を書けば作品が芥川賞候補になったり、俳優としてNHKの連続テレビ小説『あまちゃん』や『いだてん』などのドラマに出演したりと多才だ。

 そんな松尾氏の新刊『人生の謎について』(マガジンハウス)は、2018年から続く『GINZA』の同名連載をまとめたもの。家族、故郷、恋人、仲間、仕事などについてのエッセイから成るが、特に吸引力のあるトピックを挙げると、修業時代の話と、コロナ禍での演劇に大別される。

 前者は、印刷会社を辞めて演劇に打ちこんでいた著者の回想と回顧。時間はあったけれど仕事はない。とにかく貧乏だった、ということは伝わってくる。恋人に金を無心し、パチンコや漫画喫茶に入り浸りながら、自堕落な日々を送っていたそうだ。

 なお、松尾氏が住んでいたのは笹塚。劇団員の池津祥子氏が住んでおり、宮藤官九郎…

2021/12/26

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※本作品は松尾スズキ著の『人生の謎について』から一部抜粋・編集しました

『人生の謎について』(松尾スズキ/マガジンハウス)

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人生の謎について / 感想・レビュー

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エリ本

タイトルに惹かれて読んだ。「人生の謎」知りたかったから。でも松尾さんも分からないみたい。そうか皆分からないんだなぁ。本当「人生ってなんなんだ(文の締めくくり)」ですよ。

2023/11/08

sazen

★★★★縦長の変わった版型なのが、何だかセンスを感じさせる。著者に起こった人生の謎について書かれている、とのことだが謎というより口の中に広がる渋み、みたいな内容。ったくよう、なんなんだよ。と言いながらも現実を生きる大人の渋み。コロナ禍での劇団の舞台裏で、神棚に祈ったという話が印象的。公演できたことを感謝するんではなく、「もうこれ以上災難を持ち込むな!」という想いで祈ったと。わかる、めちゃくちゃ分かる。

2021/11/19

kane_katu

★★★☆☆縦長の版型がなかなかオシャレ。コロナ前からコロナに至るエッセイ。既に知っている内容もあったけど、文章が上手いので読ませる。コロナ禍での舞台の上演の裏側はなかなかに辛そうだった。

2021/11/05

ぱぴー

松尾スズキさんが好きで、なんとなく読み始めたがかなり面白かった。コロナ禍で演劇ができない状況や濃厚接触者になった話は、今読むと懐かしさすら感じますが、確かにそんな生活でした。子供の頃にタイムスリップの真似して遊んでた人の話が一番好きかも。

2024/03/02

夏野

エッセイ集。著者のエッセイは、日常を淡々と語りながらもどこか面白さと憂愁を感じさせる。以前のエッセイは面白さが強かったが、今回は題材が人生のせいか、憂愁が強い感じはする。しかし、著者と共に人生をふり返りたくなったり、いろいろ考えさせられた。コロナ禍の演劇上映の大変さも感じた。松重豊と共演したときの回も印象的だった。

2021/12/29

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