ハケンアニメ! (マガジンハウス文庫)
「ハケンアニメ! (マガジンハウス文庫)」のおすすめレビュー
『まどかマギカ』の新房監督も絶賛!辻村深月著『ハケンアニメ!』が文庫化
『ハケンアニメ!』(辻村深月/マガジンハウス)
「この間から僕に向けて言う“リア充”という言葉は、僕のように、現実のリアルしか充実していない人間を指す言葉ですか?」。2014年、小説『ハケンアニメ!』(辻村深月/マガジンハウス)が単行本化されたとき、読んでこの一文に衝撃を受けた読者は多かったんじゃないだろうか。リア充爆発しろ。このリア充め。リア充なんかに何がわかる。その屈折した物言いは、自分を卑下しているようで実は高みに置いている。相手の充実を、なんの苦労もなく手に入れたうわっつらのものであるかのように、貶めている。文庫化された今、同じことを“天才”に対しても思う。目線が高かろうが低かろうが、レッテルを貼ることで相手を勝手に定義し、正当な評価を怠ることに他ならない。あいつは才能があるから。自分とは違うから。そう言って、彼らの努力や苦しみを蔑ろにするのと同義なのだ、と。
『ダ・ヴィンチ』本誌のインタビューで、「相手を高く仰ぎ見るふりをして、突き放したり馬鹿にしたりしていませんか、と問いかけたかった」と語った辻村深月さんは、どこまでいってもフェアな…
2017/10/10
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「いい意味で泥臭くて熱い」柄本佑さんが、映画『ハケンアニメ!』の出演を決めた理由とは?
本当に面白い作品ってどんなもの? 映画が未来に遺せるものって何? 柄本佑さんが雑誌『ダ・ヴィンチ』の表紙で持つ本に選んだ作品は、中学時代に出会った特別な一冊、大友克洋の『童夢』。そして取材日の前日に観たロベール・ブレッソン監督の映画と、柄本さん自身が出演する映画『ハケンアニメ!』。それらが重なり合ったとき、柄本さんが大切にしている役者としての想いが立ち上がってくる。
(取材・文=松井美緒 写真=干川 修)
柄本佑さんが本誌のために紹介してくれたのは、大友克洋の伝説の名作『童夢』。わざわざ自宅の本棚から持ってきてくれた、想いのこもった一冊だ。人に薦めてはプレゼントし、その度に買いなおしているという。『童夢』との出会いは、柄本さんが中学生のころ。 「うちのかーちゃん(女優の角替和枝さん)がマンガ大好きで、階段の踊り場が埋め込み式のマンガ専用本棚になってたんです。ガロ系から少女マンガまで並んでて。その中から大友克洋さんを薦めてくれて。最初は『ハイウェイスター』。『ショート・ピース』から『AKIRA』へと進んで、『童夢』はなぜか最後でした」 その最…
2022/5/13
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ハケンアニメ! (マガジンハウス文庫) / 感想・レビュー
さてさて
『巧い、と思う。悔しい。羨ましく、そして、どうしようもないくらい興奮する』。そんな傑作と呼ばれる作品が誕生する様を見るこの作品。そこには、アニメの制作に人生の全てをかけて真摯に向き合う人達の生き様が描かれていました。“お仕事小説”として普段見ることのできないアニメの制作の舞台裏を知ることのできるこの作品。辻村さんの作品作りの王道を行くように、緻密な伏線の数々と怒涛の伏線回収にカタルシスを感じるこの作品。名作、傑作の山しかない辻村さんの作品群の中に、また確かな傑作の頂を見つけた、圧巻の素晴らしい作品でした。
2022/08/31
パトラッシュ
誰もが「好きなことを仕事にしたい」と望むが、そうできる人は少ない。大部分は意に沿わぬ場で働くか、意志もなく流されて生きている。その針の穴の可能性を潜り抜けて大好きなアニメ制作に携わる面々を描いた群像劇は、単純なお仕事小説にはない希望に満ちている。芸術家気質の監督や無茶ぶりを強いるスポンサーに振り回されるプロデューサー、ノルマを抱えたアニメーターと聖地巡礼の実現に奔走する公務員などはプロレタリア文学になりかねないが、彼らは愛するアニメのため懸命に働き達成感を得る。働く苦労が報われる姿こそ本書のテーマだろう。
2022/01/08
みも
第一章は王子千晴監督と有科香屋子プロデューサー編。第二章は斎藤瞳監督と行城理プロデューサー編。第三章はアニメーター並澤和奈と新潟県選永市観光課の宗森周平編。六者六様の個性を端的なまでに明確化し、全員の力が結集した時の化学反応を描いた。ただ、そこかしこに美男・美女が登場し、良くも悪くも二次元的ライト作品。アニメに関し浅学の僕にはピンとこない描写が多々あったが、自分のテリトリーに固執する和奈に対し、誠実に胸襟を開く公務員の宗森には心を寄せる事が出来た。舟流しの祭りに集約される総動員のクライマックスは悪くない。
2021/05/07
NADIA
「アニメは好き?」と聞かれたら、同世代の平均よりは好きな方だと思うが、ツタヤでDVDを借りる程ではない。そんな私でも、この物語を読みながら何度も感動で目頭が熱くなるくらい感動した。テレビ放映されるアニメ作品制作者目線の第1章第2章も面白いが、一人のアニメーターが作品の舞台である地元の公務員と協力して「聖地巡礼」を企画する第3章が一番印象深く面白い。有川浩「県庁おもてなし課」を思い出した。第1章で垣間見たアニメ界の大人の事情が語られる場面では、子供の頃にある作品に感じた不満な部分を思い出し苦笑(^^;
2019/01/31
どんふぁん
2019年10月12日読了。ハケンアニメの意味もわからないまま、アニメに関する知識も全くないのに、読み始めた本作。ただ、辻村深月さんの「かがみの孤城」が素晴らしかったので、別の作品も読もうと思って手に取りました。アニメは普段全く見ませんが、自由に作品を描けて独自の視点と世界を持ってるものというイメージがあるんですが、監督になるとこんなに作品に対して責任を負わされるものなんだなと知りました。たくさんの担当を束ねて作品を作るから、失敗した時の重圧はすごいんだろうなと。今回は世間の評価は単純な形ではなかったけど
2019/10/12
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