トラウマ類語辞典
「トラウマ類語辞典」のおすすめレビュー
「トラウマ」が行動を動機づける? あの人気キャラクターの秘密もわかるかも
『トラウマ類語辞典』(アンジェラ・アッカーマン、ベッカ・パグリッシ/フィルムアート社)
小説家、脚本家、マンガ家など「創作者の強い味方」として、じわじわ話題となっている「辞典」シリーズの第5弾『トラウマ類語辞典』(アンジェラ・アッカーマン、ベッカ・パグリッシ/フィルムアート社)。
本書は物語を創作するにおいて重要な「キャラクター作り」の一助となる、とても画期的な一冊だ。
過去の傷(=トラウマ)は、キャラクターの行動を動機づけるものである。
過去の傷によって、重要なキャラクターはそれぞれ、どのような破滅に向かい、どのように人格が変化し、どのような先入観を抱き、そしてどのように行動や態度が変わっていくのか。本書を読んで考えてもらいたいのは、そういう事柄だ。
しかしなぜトラウマが、フィクションの登場人物に必要なのか、疑問に思う方もいるかもしれない。本書はその理由から、丁寧に説明してくれている。
人は過去の産物だ。読者にとって信憑性や真実味のあるキャラクターを作り出したいのなら、キャラクターの背景的な過去の出来事も理解しておく必要がある。(中略)揺るぎない…
2018/12/4
全文を読む人の心の傷ばかりを取り扱った“トラウマ”辞典! 気になる中身は…
『トラウマ類語辞典』(アンジェラ・アッカーマン、ベッカ・パグリッシ:著、小山健:イラスト、新田享子:訳/フィルムアート社)
心の傷(トラウマ)は、物語やキャラクターに深みを与える大事な要素だ。主人公を襲うピンチや、暗い過去にグッと感情移入したことのある人は多いだろう。だがいざ書き手としてトラウマを描こうとすると、自身の体験や想像だけでは限りがあることも。もっとリアルなキャラクターを描くにはどうすればよいのだろうか…。そんな悩みを持つ創作者に薦めたいのが『トラウマ類語辞典』(アンジェラ・アッカーマン、ベッカ・パグリッシ:著、小山健:イラスト、新田享子:訳/フィルムアート社)だ。
■「トラウマ」のデータベース化に成功 類語辞典とは、類似語や関連語を集めた辞典のこと。本書はそのスタイルにならって、人間の抱える多様なトラウマを118項目に分類し、各トラウマに起因する感情やストーリー展開などを「類語」としてまとめた斬新な辞典だ。
それぞれのトラウマは「行動基準の変化」「そのトラウマが形づくるキャラクターの人格(ポジティブ面/ネガティブ面)」「トラウマに向…
2018/10/1
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トラウマ類語辞典 / 感想・レビュー
またの名
困ってる人を助ける気さくなキャラが詐欺に遭って自分の長所だったはずの性質を欠点と思うようになり誰も信じない無関心へ転向するとかの、物語を駆動するトラウマを総覧。創作のヒントに使うための本で実際の人間に当てはめないようにと断りつつも、読んでるうちにクソデカ感情がえぐってきてクラッシュしてしまう危険に注意を促してるし非現実の空想用例集程度ではなく一個の人間論のよう。実際に割と情緒が不安定化した。虐待や犯罪被害から過剰な美貌に心身障害、公共サービスが正常性を失う社会動乱やネット拡散炎上など今っぽいケースも収録。
2020/04/06
小木ハム
キャラクターメイキング用。人物の掘り下げには『夢・目標』や『これだけは許せないこと』等ありますが、ネガティブ要素として過去の『トラウマ』は重要で、本書では118種類の要因別にどのような思い込みをし・行動規準を変化させ・悪化させる出来事は何があるか・克服する出来事は何かを引き出せます。必要なときに使えば良いので全文読む必要なし。たくさん物語を創る人は手元にあると重宝しそうです。
2020/07/26
ねこ
キャラのバックボーン作成時に深みを持たせることができそう。トラウマに対する反応など情報が結構多いのでかなり参考になる。
2022/07/31
アイロニカ
既刊の類語辞典4冊に続いて衝動的に買ってしまった本。毎日読み進めて一通り目を通した。少し傷ついたと感じる軽度なものから人命や信念が関わる重いものまで、キャラクターを大胆な行動へと促すトラウマ要因を集めた本である。一つの項目に対して固定的な物語が示されるわけではないので読み手のインスピレーションと想像力、応用力が試されるだろう。しかし個人的に気にしていた『配偶者との死別』や『動物に襲われる』が項目に無かったのはどういうことか。本書を参考にして自力で考えてみるのも悪くはないが。
2019/06/23
えびちり
もともと仕事の資料にと簡単なインスピレーション用に。わかりやすい類型の心理的外傷がもたらす人格的影響が多く記載されています。あ。これまずい。自分の奥底の書きたがり部分がぎゅんぎゅん刺激される。もっとも、アメリカンな類型なので日本人の感性や発露とはちがう部分はあるし、解釈ちがう部分があるんですが、興味深い項目はかなりある。ほら、率直に人に聞いたり、取材しにくい部分とかあるから。本題に入る前の「はじめに」の部分も秀逸で、こういった事柄に触れるための注意点とかしっかりと記載されている。心の健康に、これ大事。
2019/04/17
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