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誰もいない文学館

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作家
西村賢太
出版社
本の雑誌社
発売日
2022-06-23
ISBN
9784860114718
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誰もいない文学館 / 感想・レビュー

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厩戸皇子そっくりおじさん・寺

これは良い文学案内かつ古本案内。探偵小説に始まって、田中英光、藤澤清造と、文学の世界にのめりこんでいった西村賢太の精神史でもある。ここに出てくるメジャー作家は尾崎一雄ぐらいである。私は本書と杉山淳の評論『怪奇探偵小説家 西村賢太』を読んで、今さらながら探偵小説を少しずつ読み始めた(大河内常平『九十九本の妖刀』は奇妙な小説でした)。田中英光の父親が岩崎英重(岩崎鏡川)で、岩崎が『坂本龍馬関係文書』等をまとめた史家である事は有名だが、岩崎の没後に限定100部で『坂本龍馬覚書』という本が出ていた事を知り感動。

2023/08/23

つちのこ

数多いる作家と比べて読書量の少なさを冒頭で謙遜しているが、読み進むにつれ、それが思いっきり的外れだと分かる。大正~昭和初期の近代文学の知識の奥深さや、古書業界に精通した見識は、著者が単なる物書きでないことを証明している。恐るべきは、小学5年から横溝正史に狂い、『宝石』を読み、15~16歳でマイナーな作家群を読破していく早熟さ。師と仰ぐ、藤澤清造つながりでの物故作家の発掘と研究は、私小説を書く以上に夢中になれる活動であったと見て取れる。無頼派を通して逝ってしまったが、死してなお、稀有な才能は輝きを失わない。

2022/09/23

こうすけ

西村賢太による文芸評論。といいつつ、「西村賢太 古書紀行」というような内容。古書そのものの価値や収集の楽しさが伝わる。基本は藤澤清造に関するものが多い。

2022/07/03

澤水月

「文豪だけが作家じゃない」。藤澤清造に限らず、「誰も知らない」であろう文学者たちを主に紹介。藤澤の面倒を見た横川巴人だけでなく妻で歌人の上野成子にも1章と丁寧で気迫あり。私の好きな文学者、金子光晴の名前が田中英光全集内容見本の選者として出て一人胸熱。古書紹介エッセイとも取れるし私小説論でもある。それにしても表紙の賢太可愛い…多く表紙を手がけた信濃八太郎さん。読了4/20

2023/04/24

そうたそ

★★☆☆☆ 西村賢太という作家を構成する(主に)昭和の作家たちを取り上げて紹介する一冊。ほとんど知らない作家ばかりで、改めて著者のマニアックぶりを感じる。作家紹介に終始しているわけでなく、それらとともに西村賢太という作家を知ることができるような内容になっている。普段の作品からすれば、幾分大人しめな内容であるが、破天荒な側面がある一方で、敬愛する作家たちに誠実な著者の一面が見て取れる。

2022/09/06

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