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鄙(ひな)への想い

鄙(ひな)への想い

鄙(ひな)への想い

作家
田中優子
石山 貴美子
出版社
清流出版
発売日
2014-03-15
ISBN
9784860294144
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鄙(ひな)への想い / 感想・レビュー

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壱萬弐仟縁

2011年初出。随所にモノクロ、カラー写真があり、文章で綴られる構成。鄙は、都の価値観が被い尽くした現代日本の全体を、批判的に捉える逝きし世のような位置づけをもつ(14頁)。鄙は生産の場所。江戸時代では生産者が最も価値ある人間と考えられた(22頁)。江戸時代に学ぶ必要が平成人にはありそうだ。江戸時代ではしあわせは仕合わせと書き、めぐりあわせ、幸運の意味(31頁)。ローカリゼーション:一定の地域で、人々が自ら産業を担い、人が生涯安定して生きてゆける仕組み(99頁)。

2015/09/22

kiho

「鄙」という言葉の凛とした存在感…都に対比すれば地方、田舎という表現が先に立つけど、その土地には長年の営みと自然の恵みがある⭐そのことをもっと深く認識しなければ、自分たちの地盤が崩れてしまう…という危機感を真っ直ぐに著す1冊。社会のどこに目を向けるべきか…石山さんの写真にも大きな示唆がある。

2015/08/27

茶幸才斎

雑誌記事として、日本各地に残る自然と調和した暮らしや文化を、都に対する「鄙」と呼び語ろうとした筆者の意図は、あの震災によって連載2回目にして大きく変貌する。替わりに筆者が浮き彫りにしたのは、したたかに立ち振舞う市場原理主義によって都に利用され、都の矛盾が一方的に集積する犠牲の地としての「鄙」であった。経済至上主義が地球環境に物理的打撃を与え、人びとの伝統的な暮らしを蹂躙する事実を知りつつ、甘んじてそのシステムに依存し続ける自分に、かすかな後ろめたさは常に感じる。でも何もしない。しないのです。ごめんなさい。

2014/08/15

sai

山村に8年間家族6人で暮らした5年目に娘が産まれた。その町でその年に産まれた子供は10人いなかった。そこまでの過疎かと驚いたが翌年は一人も産まれなかった。娘の産まれた年はベビーラッシュだったのだ。平成の大合併でその町は合併先に嫌がられて、住民投票の末、流域下流部にあり、原田マハ氏が描いてくださった、白壁土蔵の町並みが美しい町と一緒になった。どんなに不自由な立場になっても声が上げにくい思いがあった。鄙は都にある意味搾取され続けるが、貧しいが土地は広く、水は旨く、食料はある。都にない幸せが鄙にはあると思う。

2015/02/02

ひでき

都鄙。江戸時代は藩が国の単位で、領民は藩主を中心とした政治、経済システムの中で生きていた。城があり城下町があり、それぞれの地域に根付いた豊かな文化が育まれていた。その周辺部に鄙が存在していた。江戸の人が「田舎者」と呼んだのは江戸周辺の農民で、藩の城下町からやってきた人のことではない。明治期以降にゆがんだ中央集権が極度に進み、地方=鄙に国家の陰を押し付けてきた。水俣病、沖縄の米軍基地、福島...。筆者はこの国の現在の為政者達が米国占領下の植民地のエリートだと切って捨てた。思考停止に陥らないこと、行動すること

2014/08/03

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