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黄泉の河にて

黄泉の河にて

黄泉の河にて

作家
ピーター・マシーセン
東江一紀
出版社
作品社
発売日
2014-06-20
ISBN
9784861824913
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黄泉の河にて / 感想・レビュー

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りつこ

とても苦い後味。自分とは異質なものに対する畏れや反発。それが差別になったり嫌悪になったり恥ずかしさになったり暴力につながったりするのだが、それを感情を排した文章で、そこにあるものとして淡々と描かれる。救いのない物語が多いが、どれも静かで透明な印象。辛い…と思いながら読んだが情景が頭にこびりついて離れないものもあり、時間がたつとまた感想が変わりそうな気がする。東江さんの翻訳に惹かれて読んだのだが読んで良かった。

2016/02/16

ソラ

躙り寄るかのような、ちょっと居心地の悪い感触と、死の影が垣間見える不穏さ。暴力と差別、唐突に突き放され、置いていかれる事に、妙な喜びを得る。善意は陽に炙られ、干からびて行き、悪意は隙を伺い待ち構えている。かと思えば、空白の中に唯一浮かび上がる、場違いな能天気さ。心に突き刺さるまでも無いような、然りとて離れ難いような不思議な印象。ただ、差はあれど重さが全体を支配する。汗が滴り、張り付いたシャツの、湿気が伝わるような妙な感じ?。いや、何と言って良いやら、自分でも分からない。いずれにせよ、好きなタイプの作風。

2016/02/12

erierif

『流れ人』はブニュエルの映画『若い娘』の原作だそうで殺気のただよう緊張感に圧倒された。簡潔な描写と終わり方で、死、病、偏見、卑しさ、愚かさ、暴力…普段目をそらしている事を明確にした。しかし著者が禅僧でもあったからだろうか、暗黒の世界を描きながらもどこか透明感があり「ただそこにある」事として描かれているのでとても心に残った。『季節はずれ』はハイスミスの『すっぽん』を思い出した。『アギラの狼』『薄墨色の夜明け』が好き。東江さんの的確でキレのある訳がこの作品を際立たせていた。

2015/02/05

ハルマッチ・ハセ

例えばやって来た電車が汚れていたとすると、直ぐに車両を変えるか、その場所からなるべく離れるか、仕方なくなかったように振る舞うか。社会性のある人間とはこういう生き物かと思う。作者は違うようで、例え嫌いなピーマンを出されても「お残しは許しまへんで」のスピリッツにより、執拗に出来事を描写する。腐敗し淀んだ沼のような国に頑張ってへばりついて自我を保ってストレス発射を我慢汁で誤魔化す様子。ここまで繊細な感覚を持ちながら、不思議なのは作者は至って見も心も健康に感じる。異様な文章の深み。南部ゴシックっぽいがもっと壮大。

2020/02/16

hirayama46

はじめてのピーター・マシーセン。黒人差別の横行する田舎を描いた作品が多く、雰囲気としてはアメリカ南部の作家に近いものがあるかな。全体的にじっとりとした熱気がありますね。味わい深い短編集でした。

2016/01/19

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