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追伸(新装版)

追伸(新装版)

追伸(新装版)

作家
森雅之
出版社
バジリコ
発売日
2018-09-30
ISBN
9784862382405
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追伸(新装版) / 感想・レビュー

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katsubek

 さだまさしに「追伸」という歌がある。学生時代、サークルの先輩(女性)に、「あの歌に出てくる鴎外の本は『雁』だと思う」と言われたことを、不思議に覚えている。ところで、あの歌の歌詞は、どこからが「追伸」になるのかと、改めて考えたりした。さて、本書。偶然の出会いからの約1年間、男女が互いに宛てて書いた追伸付きの手紙が紡ぐ物語である。手紙はメールよりも切なく、SNSよりも重みがある。出そうとして出さなかった(出せなかった)手紙は、なおさらである。素敵なストーリー。じっくり楽しみたい作品である。

2019/02/10

 

デリダに『絵葉書』という奇妙な哲学書(作品?)がある。あれも、ラブレターの体勢を取っており、手紙の送信によるズレ(=差延)を主題としていたが、この『追伸』という作品も、そのような時間的/空間的、或いは恋人同士の感情のズレが作品の主題を構成する。中盤以降、電話という時間的/空間的な「距離」を縮減する装置の登場は、皮肉にも感情のすれ違いを広げるだろう(メールやSNSが発達した現代においてはより示唆的ではある)むしろ、必然的に遅延(=「追伸」)してしまう微細な感情を拾い上げてゆくこと、作品の掛け金はそこにある。

2020/02/07

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