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リリカル・アンドロイド (現代歌人シリーズ29)

リリカル・アンドロイド (現代歌人シリーズ29)

リリカル・アンドロイド (現代歌人シリーズ29)

作家
荻原裕幸
出版社
書肆侃侃房
発売日
2020-04-16
ISBN
9784863853959
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リリカル・アンドロイド (現代歌人シリーズ29) / 感想・レビュー

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太田青磁

式場を出て気疲れの首かたむけて本音のやうな骨の音を聴く・嫌なだけだと認めずそれを間違ひと言ふ人がゐて春の区役所・春が軋んでどうしようもないゆふぐれを逃れて平和園の炒飯・棚や椅子や把手のねぢを締めながら白露わたしのゆるみに気づく・他意のないしぐさに他意がめざめゆく不安な冬の淵にてふたり・喪主と死者のやうにひとりが饒舌でひとりが沈黙して寒の雨・嫌だなあとやけに泡だつこゑが出て自らそれが嘘だと気づく・香車の駒のうらは杏としるされてこの夕暮をくりかへし鳴る・同じ本なのに二度目はテキストが花野のやうに淋しく晴れる

2020/07/19

わいほす(noririn_papa)

何だかすごくその感性に共感して買ってしまった。穏やかな日常や風景を綴りながら、時々はみ出したり闇を見つけてしまったり。この著者を知らなかったのだが、昔はホムホムたちとニューウェーブで暴れていたらしい。するとこの叙情歌はアンドロイドとしての仮の姿なのだろうか。でも案外、素はロマンティストなのかも。今後もこの路線で行ってほしいな。歳を取ったら自然体(笑)。好きな歌を二首。 追伸のやうな夕日がさつきまであなたが凭れてゐた椅子の背に 思ひ出さうとすれば遠のく青き日々の空をしづかに焼く百日紅 (妻シリーズも好き)

2020/12/19

qoop

生活感に根差したリリカルさと、日常の外側を覗き込んでしまう怖さを伴う幻想味。二重写しのアンバランスな視界をバランス良く切り取った独特の安定感。暮らしの中で歌が醸される/切り取られていく自然なあり方を示すような、心強い感覚。/妖精などの類ではないかひとりだけ息が見えない寒のバス停/こむばんわぁと聞こえたのだが雨の中どの木蓮の声だつたのか/この世から少し外れた場所として午前三時のベランダがある/この夏は二度も触れたがそのありかもかたちも知らぬ妻の逆鱗/本を閉ぢるときの淋しき音がしてそれ以後音のしない妻の部屋

2020/06/27

ゆき

すごいな。心地よくてずっと読んでいたい。

2021/01/17

yumicomachi

2020年4月刊行の第六歌集。収録された340首のうち、多くの歌に四季を示す言葉や季語が含まれていて、親しみやすい抒情を感じる。そして、何でもない言葉が意外なところにつながっていて、清潔な風の吹く近未来へ連れていかれる感じがする。あとがきに「私が、短歌をこころから楽しんだ季節の記録」とあるが、読者も楽しむことができると思う。〈長いメールの腰のあたりに絶妙な感じで枇杷が語られて、泣く〉〈追伸のやうな夕日がさつきまであなたが凭れてゐた椅子の背に〉〈わたくしの犬の部分がざわめいて春のそこかしこを噛みまくる〉等。

2020/04/18

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