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ダブル(1) (ヒーローズコミックス)

ダブル(1) (ヒーローズコミックス)

ダブル(1) (ヒーローズコミックス)

作家
野田彩子
出版社
ヒーローズ
発売日
2019-06-14
ISBN
9784864686525
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「ダブル(1) (ヒーローズコミックス)」のおすすめレビュー

天才と凡人。互いを支え合うふたりの役者の奇妙な関係の行方は――野田彩子の新作『ダブル』

『ダブル』(野田彩子/小学館クリエイティブ)

 ふたりでひとつ――。これは非常に美しく、そして、危うさを秘めた関係だと思う。お互いにお互いを支えている(と思っている)うちはまだいい。そのバランスが崩れてしまったら、崩れかけていることに気づいてしまったら。ふたりの関係はどこに帰着するのだろうか。

『潜熱』が話題を集めたマンガ家・野田彩子さんの新作『ダブル』(小学館クリエイティブ)は、まさにそんな“危ういふたり”の関係を描いた作品だ。

 本作の主人公は鴨島友仁(かもしま・ゆうじん)と宝田多家良(たからだ・たから)のふたり。彼らはともに役者をしており、絶対的な友情で結ばれている。ただし、ふたりには大きな差があった。多家良は比類なき才能の持ち主だったのだ。

 同じ夢を掲げているものの、隣にいる相棒は自分にない才能を持っている。この事実はどんなに友仁を苦しめているのだろうか。読者は早々に友仁の心境を想像し、胸が痛くなるはずだ。

 ところが、本作を読み進めると、それが杞憂であることに気づく。友仁は誰よりも多家良の才能を信じており、彼の存在を世に知らしめるべく、支えてい…

2020/3/16

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「僕らは自然体で、多家良と友仁になっている」演劇マンガ『ダブル』舞台インタビュー。W主演の和田雅成&玉置玲央が舞台版ならではの魅力を明かす

 2023年4月1日から、野田彩子原作の演劇マンガ『ダブル』(ヒーローズ刊)の舞台公演が上演されている。本作は、演技の才能を開花させる宝田多家良と、同じ役者として劣等感を抱えながらも彼を支える鴨島友仁との特異な関係性を描いた物語だ。

 舞台『ダブル』にて宝田多家良役を務める和田雅成さんは舞台『刀剣乱舞』などの2.5次元舞台で話題となり、バラエティ番組でも人気を集める俳優だ。鴨島友仁役の玉置玲央さんは、劇団「柿喰う客」での活動を皮切りに、NHK大河ドラマをはじめ映像作品にも多数出演。幅広い活躍を見せている。

 本記事では、和田雅成さんと玉置玲央さんへのインタビュー内容をお届けする。公演に向けて絶賛稽古中の二人が舞台『ダブル』にかける想いとは? 舞台の見どころも含め、お話をうかがった。

(取材・文=ネゴト / 松本紋芽 撮影=金澤正平)

このマンガは自分の話だと思った ――今回の舞台は、マンガ『ダブル』をもとにしています。実際に読まれていかがでしたか?

和田:何年か前に読んで「僕はまだ役者としてこの領域に達していないな」と思いました。僕が今回演じる多家良…

2023/4/5

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多家良の才能が、芸能事務所の目に留まる! サポートしてきた友仁は話に乗り気だが…/ダブル③

ヒーローズ編集部が運営するマンガサイト『コミプレ』で絶賛連載中の作品をお届け! 第23回文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞受賞で話題の『ダブル』を再掲載。芸能事務所に所属しないかとの誘いが来た多家良だが、乗り気ではなく…。

続きは本書でお楽しみください。

2020/12/29

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ダブル(1) (ヒーローズコミックス) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

yoshida

天才と、天才を世に出そうとする人物。深い信頼がある二人。しかし、天才をサポートする側も同業で渇望がある場合、ヒリヒリする葛藤がある。役者として天賦の才を持つ宝田多家良。彼はまだ世に出ず劇団で芝居をしている。多家良の才能に気付いた鴨島友仁は自身も役者だが、多家良のマネジメント役もする。共に台本を読み、役について考察し、生活のケアもする。部屋は違うが同じアパートに住む二人。多家良は芸能事務所にスカウトされる。勝手が違うテレビの現場も、友仁との電話で乗り切る。物語の持つ危うさ。これが野田彩子さんの真骨頂だろう。

2020/06/20

ハイポ

■1~4巻■多家良は月の役者。多家良が月の表側なら友仁は月の裏側。友仁には多家良のような魅力はないが、友仁が多家良の魅力の源泉となっており、2人を引き剥がすことはできない。多家良は微妙な重力と妖しい光で周囲の人を惑わせる。多家良を巡る友仁と愛姫の関係も狂気が滲む(lunatic)。多家良の危うさはカタストロフィを導きそうな怖さがある。■孫(太陽に対して、地球が子、月が孫)、トリックスター(日本で月の模様とされる兎は、トリックスターの典型)など、多家良に与えられる比喩が月と結びつけられるのは偶然だろうか?

2022/12/10

トラシショウ。

「役者と言う生き物は・一人では生きていかれない・一緒に生きていく事も出来ない」。積読消化。安アパートで共同生活をする役者の卵の宝田多家良と鴨島友仁、30歳。生活面が絶望的な代わりに役者としては天才の多家良を支え、時に稽古でその代役も務める友仁の奇妙な二人暮しに、芸能事務所の冷田が多家良のスカウトに来た事から変化が生じ始める。メタフィクションの怪作「わたしの宇宙」以来、作者の本を手に取る。「天才とどう付き合っていくか」と言う物語の一つであり、演劇、と言うか役者にまつわる主題の作品、かな(以下コメ欄に余談)。

2020/04/08

ぐうぐう

野田彩子の新作は、天才役者とその代役の物語。そう説明されて読み始めると、心地良く裏切られる。確かに鴨島友仁は、天才役者・宝田多家良の代役を務めている。しかし多家良にとって友仁は、代役以上の存在だ。マネージャーのようにサポートし、演技プランをリードする。役者とは、いかに演じることに納得できるか、を大事とする。多家良における友仁は、その納得の根源なのだ。そのとき友仁は、役者・多家良の人格そのものとなる。はて、そうなると、代役と呼ぶにふさわしいのはどちらになるのか。面白い!

2019/07/08

akihiko810/アカウント移行中

宝田多家良と鴨島友仁は二人三脚で劇団の役者をしている。宝田の才能に惚れた友仁が役者以外のマネージメントなどの世話を焼いている。宝田はその才能から事務所にスカウトされ…  こういうのを「ブロマンス」というのだろうか。天然で天才の宝田を、サポートする友仁。はたして二人の関係性はどう変わっていくのか。面白かった

2021/11/08

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