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RED ヒトラーのデザイン

RED ヒトラーのデザイン

RED ヒトラーのデザイン

作家
松田行正
出版社
左右社
発売日
2017-08-02
ISBN
9784865281767
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RED ヒトラーのデザイン / 感想・レビュー

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夜間飛行

ヒトラーはキリスト殺害の槍に感激してオカルティズムに傾き、鉤十字をドイツ復活のシンボルにした。行進はムソリーニ、軍服はイギリス・ローマ・インド…と、その様式は借り物のつぎはぎ。つまりキッチュであるが、それ故にこそ独裁者の意志を強烈に象っている。シンプルな形を反復して強制や監視に使うのは、まさに大衆へのストーキングといえる。このデザイン、罪深く俗悪なればこそ傷のように残存するのだろう。今も海外では敏感に反応するらしく、ポケモンに付いている卍も不可だとか。とはいえ映画では衝撃を与えるイメージとして欠かせない。

2020/08/13

HANA

ナチスの様々な意匠に散りばめられたデザインに注目し、それが人々をいかに高揚させていったかを描いた一冊。この分野に先鞭をつけたものとして草森紳一『絶対の宣伝』という大著があるけど、これはまさにそれを継ぐ一冊だと思った。デザイナーらしい目の付け所も特徴で、ハーケンクロイツについて逆卍を45度に傾け回転性を持たせた事やポスターなどの書体に注目した事などどれも初めて知る。最近の映画やサブカルなどにも言及しているのも嬉しい所。あと読んでいるうちに徐々にヒトラーの顔が表れてくるのも、デザイナーらしく面白い試みだった。

2019/06/13

ゆかーん

デザインは人を支配することを学びました。ナチスドイツの時代、ヒトラーは数々のデザインに優れたマークを生み出し、そこから独裁政権の世界を形作っていたようです。プロパガンダ、ユダヤ人迫害、病的な健康志向。「卍」を45度に傾け、疑似酩酊感を発生させ、多くの人々にこの有名なマークを印象付けたことも政策の一つ。また、グースステップからは、思考停止を作るための最適なリズムを生み出し、効率的に軍隊を形成していたようです。目から入る情報を何よりも重要視していたヒトラー。彼の徹底的なデザイン性には中毒性を感じます…。

2018/06/10

こばまり

人は何故ナチスに魅入られてしまうのか。当時用いられた様々な意匠を通してクリエイティブディレクター、ヒトラーの負の業績を検証する刺激的な作品。興奮しているうちにあっという間に読んでしまった。所謂専門書と異なり文体がざっくばらん、図版も多数で理解し易い。新旧の映画作品が沢山紹介されているのもよい。

2018/01/04

とよぽん

この夏ごろからナチスの狂気を小説や絵本、論考などによってたどってきたので、『RED』を読んだことは、それらの大きな区切りになったと思う。ヒトラーが大衆を煽り、コントロールできたのは、あの「ハーケンクロイツ」のデザインによる疑似酩酊感を生み出した成果だと著者は言い切る。45度傾けたハーケンクロイツは魔力を増大させて、旗、腕章、バナー(垂れ幕)に使われ、赤・白・黒のモダニズム的なインパクトで人々を支配する。ヒトラーのデザイン、演出、借用の巧みさによって狂気の25年間が作られ、世界に負の遺産をもたらしたのだ。

2020/10/14

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