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花

作家
白洲正子
出版社
神無書房
発売日
1991-06-30
ISBN
9784873581378
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花 / 感想・レビュー

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よこたん

“花ははかないから美しいのであって、花入にいけたその瞬間がいのちである。ゆめゆめ長く持たせようなどと思ってはならない。” ご自宅と器と花の絶妙な組み合わせから、限りなく昭和が匂う。つかの間の命を折りとって来て、そこで咲かせることの贅沢さを思い知る。折々に引用される歌と、きりりと身の引き締まるような文章と、あるがままの花。背景の屏風に溶け込むような「睡蓮」、清らかな「夏椿」、黄葉した「くろもじ」が好み。〈葛の花ふみしだかれて色あたらし この山道を行きし人あり〉大好きな歌が引用されていてとても嬉しかった。

2019/11/23

Noelle

表紙の鉄の灯明台を釣り花入れにして、白玉椿を飾った写真が秀逸である。背景と相まって、片身替りの衣装のようにこの上なく美しい。カメラマンの腕と著者の花を生ける心持ちとが最上のものを創り出す。 著者の暮らした武相荘のあちこちで撮られた花と器、すべて著者の手元にあるものばかり、こんな花を活けるのが理想です。いつか武相荘で見かけた信楽の大壺が記憶にあったのだろう、先日、実家の庭で忘れられていた備前の大壺を貰ってきた。本書で白梅や白蓮を投げ入れた著者の真似をして、来春には絶対桜を活けようと、今から目論んでいる次第。

2020/09/23

sohara

花好きの俳句友達からの貸与本。白洲正子初読み。高名な著者の名前のみは知りながら、古典の教養に乏しい身としては、いかにも敷居が高くて近づけずにいたもの。雑誌『ミセス』に連載された写真と文章をまとめたものなので、労せず読了。さりながら、切り花を、「ゆめゆめ長く持たせようなどと思ってはならない」等、心に刺さる文章を幾つも得る。花の背景の障子紙が黄ばんでいたり、穴を塞いだ跡がくっきり分かるマスが写っているのも微笑ましく、いっとき、昭和の日本に引き戻されました。鶴川にある武相荘は、いつか訪れたい。

2015/05/25

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