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ホテル・アイリス (幻冬舎文庫 お 2-1)

ホテル・アイリス (幻冬舎文庫 お 2-1)

ホテル・アイリス (幻冬舎文庫 お 2-1)

作家
小川洋子
出版社
幻冬舎
発売日
1998-08-25
ISBN
9784877286200
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ホテル・アイリス (幻冬舎文庫 お 2-1) / 感想・レビュー

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さてさて

一見、異常な関係性の男女の世界を描いたこの作品。しかし、そこには『同じ日の同じ時間、同じ場所へ向かおうとしている人間が自分以外にもう一人いる。そんな事実がうれしかった』という少女の素朴な感情の先にある歪んだ愛の形でもありました。衝撃的な結末の先に少女が願った唯一のことを思う時、少女は『意図的に男性を受け止めてい』たんだ、と自分の中ですっとこの物語が幕を下ろすのを感じました。好き嫌いは分かれそうなこの作品。小川さんらしい表現の魅力に満ち溢れたこの作品。躊躇した末に、読んで良かったと感じた、そんな作品でした。

2021/04/28

ヴェネツィア

小川洋子初読。小川洋子といえば、『博士の愛した数式』が、まず思い浮かぶが、その作品にはあまり興味が持てそうもなく、未読。それで選んだ最初の作品が、この『ホテル・アイリス』なのだが、なんとなく想像していた小川洋子像とは似ても似つかないものだった。これ1作しか読んでいないので、これが小川洋子の本来の姿なのか、それとも、これは彼女の作品系列の中では異質なのか、わからないが。物語は、エレクトラ・コンプレックスとマゾヒズムの気配が濃厚に漂うもの。それでいて、どこかもの悲しく、沈痛な趣もある不思議な世界だ。

2012/06/29

三代目 びあだいまおう

芥川賞作家が描く少女と老人の純愛、究極のエロティシズム。 確かにその通りなのかも知れない。が、気持ち悪い。老人の変態的な狂気さえ帯びた愛し方と、その愛され方を好み全てを受け入れる少女との間にあるのは確かに究極の純愛なのだろう。私自身の恋愛経験が乏しい為か全く理解できない愛し方愛され方。でも、世の色んな事件の背景にはこうした変わった愛し愛され方があったりするのだろう!読後?ウーンいささか不愉快‼️🙇

2018/12/06

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

夏だけ活気を取り戻す、海に面した萎びた観光地にひっそりと建つホテル・アイリス。美しい少女マリの世界は、そんな篭った臭いのするホテルだけだった。少女のその狭い世界は、老人の命令に甘くよろめく。絡みつく褒め言葉に囚われた彼女が求めたのは、薄汚く罵られる自分だった。 こんなにもあからさまで偏執的な官能小説なのに、違和感がないのは、この人の小説の何処かに、これまでもこういうあやしい倒錯的な何かを感じ取っていたからかも。小川さんの新たな一面を感じる読書でした。とはいえ初読にはお勧めしません。

2019/06/09

ちゃちゃ

倒錯した愛に、深いため息をつくしかなかった。ホテル・アイリスで働く17歳の少女マリと初老の翻訳家。小さな島にある男の家で、男は豹変して命令を下し、少女は求めに応じて苦痛と屈辱を貪るように叶える。その刹那にこそ、二人にとって究極の快楽があるということか。少女は母親の支配から逃れるために、男は亡くした妻の記憶とその罪悪感を消し去るために。ともに醜い自分を晒すことで、心に抱えた大きな欠落を埋めようとする。二人にとって、このような形でしか得られない密やかな愛の歓びは、逆に人間の深い孤独の淵と狂気を印象づけた。

2022/02/24

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