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空想旅行の修辞学: 『ガリヴァ-旅行記』論

空想旅行の修辞学: 『ガリヴァ-旅行記』論

空想旅行の修辞学: 『ガリヴァ-旅行記』論

作家
四方田犬彦
出版社
七月堂
発売日
1996-06-01
ISBN
9784879440006
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空想旅行の修辞学: 『ガリヴァ-旅行記』論 / 感想・レビュー

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misui

四方田犬彦の修士論文。『ガリヴァー旅行記』を古代ローマから現代に続くメニッペア(諷刺劇)の伝統に連なるものと捉え、それがどのように表れているかを精査する。メニッペアとは諷刺による相対化の運動であって、そのトリックスター的な伝統は、スウィフトを経過してサドやドストエフスキーに継承され、ディストピア小説の母体になった。絶え間ない諷刺はカーニバル的対話を生み出し、笑うものすら無事では済まされない異常事態へと進む。あまりに射程の広い論であって、これを二十代で物したとは驚嘆する。ある意味、文学を見切っているのでは。

2014/01/21

あかふく

『ガリヴァー旅行記』というテクストは著者スウィフトのキャラクター、時代背景などの魅力もあり、その「影響」に関する研究が解釈にあたっては幅をきかせていた。本書はそうではなく、ある文学ジャンルの流れに属する一つの部分として『旅行記』を解釈し、価値を見る。そのジャンルは「メニッペア」と呼ばれるのだが、この時点で本書が「影響」によって『旅行記』を一つの型に収めようとしないアプローチを取ることの正当性が了解される。メニッペアの大テーマの一つは「諷刺された諷刺家」なのだ。一つのものを確固として諷刺するのではないのだ。

2014/04/14

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