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冬の夜ひとりの旅人が (イタリア叢書 1)

冬の夜ひとりの旅人が (イタリア叢書 1)

冬の夜ひとりの旅人が (イタリア叢書 1)

作家
イタロ・カルヴィーノ
脇 功
出版社
松籟社
発売日
1981-01-01
ISBN
9784879840226
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冬の夜ひとりの旅人が (イタリア叢書 1) / 感想・レビュー

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えか

男性読者がカルヴィーノの新作『冬の夜ひとりの旅人が』を買い求め、読み始める処から始まるメタフィクションの最高峰の小説。物語は、そんな彼が、何故か、中断せざるを得ない読書と、その旅の途中で出会う女性読者との、失われた本の続きを求めるオデッセイである。構成がそうである以上、物語を進める原動力は、十、ある、その途中で途切れる小説にあるわけで、カルヴィーノの小説家としての才能は、まさに、その書き出しだけの小説のバリエーション、面白さ、に溢れている。第十章の、読書の意味を考える図書館の読者たちの台詞は、圧巻である。

2023/09/24

aoneko

意味ではなく体験だった。あなたは、からはじまる出だしから、なにそれで終わるラストまで、とても好きな小説だった。まさに濃い森に分け入るように読書に入っていく。連れて行ってくれるのかと思いきや、あまり楽はさせてもらえなかったけど(自分で歩けと言われた)。一作一作とはなはだしく調子を変え、るらしいカルヴィーノの他の作品も気になるけれど、読み返すことがあれば、ゆったりとソファーに埋もれて読みたい。

2014/08/04

鳩羽

読者が『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めたところ、乱丁があり同じ部分の繰り返しだった。正しいものと交換してもらったつもりだったが、それもまた別の本の一部だけ…。小説の続きが気になった読者が追い求めれば求めるほど、別の小説の一部だけが手に入る。作者と読者と翻訳者と編集者。世の中には無数の書かれた小説と、書かれなかった小説があり、蔓が伸びるように無心に読書を続けていても終わりはない。ベッドで隣り合って読書していても、その経験の間には亀裂がある。小説は捉えきれないものを捉えようとする虚しい試みなのかもしれない。

2015/11/09

ゆっころ

今まで読んだことない不思議な小説。醒めても醒めても次の夢みたいで自分がどこにいるのかわからなくなる。かなりぶっとんでるけど面白かったー。読むこと書くこと翻訳することについてこれでもかと色んな角度から突きつけられ考えさせられた。作中作も変な話ばかりだけど印象的なのは日本を舞台にした「月光に輝く散り敷ける落葉の上に」がエロティックでゾクゾクした。なにか日本の作品の元ネタがあるのだろうか…!いろいろ気になるので誰か解説してほしい!

2015/02/10

ロピケ

永遠の女性読者ルドミッラ…。『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めたはずが。読者である私達(大半は男性読者の立場にとどまらざるを得ない)は翻弄されまくり、「続きは一体いつ読めるの?」と欲求不満になりかけるけれど、次から次の面白い話にどんどん引き込まれて…。いろいろな本に書名を見掛けただけの事はあって、抜群に面白かった!それにしても、『ミドルマーチ』のドロシア、『中二階のある家』のリーダ、この本のロターリア、何かの主義主張、考えに取りつかれて頑迷な長女として現れる。長女ってそういう所があるのかしらと気になった。

2011/10/13

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