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虐殺のスイッチ 一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか (出版芸術ライブラリー)

虐殺のスイッチ 一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか (出版芸術ライブラリー)

虐殺のスイッチ 一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか (出版芸術ライブラリー)

作家
森達也
出版社
出版芸術社
発売日
2018-10-03
ISBN
9784882935117
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ジャンル

虐殺のスイッチ 一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか (出版芸術ライブラリー) / 感想・レビュー

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ネギっ子gen

人はなぜ人を殺すのか。人はなぜ他の生き物の命を奪うのか――。根源的命題ゆえに、それらの問いの前に、人は途方に暮れるばかりだ。しかし、それを曖昧にしたままでは先に進めない、と映画監督たる著者は考えた。<集団は、ある意味で臨界状態にある。ちょっとした刺激で突沸や接種凍結を起こす。一気に相が変わる。そして、何が相転移を起こす物理的刺激になるか、事前には予測できない。イデオロギーや信仰の場合もあるが、もっと些細な物理的刺激の場合もある。これが虐殺のスイッチ/集団の論理は個とは違う。主語が集団になる>と。良書だ。⇒

2021/03/11

ショコラテ

多分虐殺のスイッチは誰も知らないうちに、押した自覚もなくいつの間にか押されている。そう、以前から不思議に思っていた。アメリカ帰還兵のPTSD問題。日本ではあまり聞かないと思ってた。もちろん時代のせいもあるが、個が弱い日本人は壊れづらいらしい。集団に馴染みやすく歯車になりやすい。だから戦争で人を殺しても普通に日常生活に戻れる。考えたら怖いことだよね。虐殺はいじめの構図と同じ。多数vs少数で、集団から浮いている者を攻撃する。集団だと個の責任が薄まるから残虐になる。人間の本能だからブレーキかけるのは至難の業か。

2019/01/20

遊々亭おさる

関東大震災時の朝鮮人狩りやナチスによるホロコースト・・書き出せばきりがなくなるほどに歴史に刻まれた蛮行の数々。彼らは何故、虐殺に手を染めたのか。オウム真理教を内側から見たドキュメンタリーを制作し、賛否を呼んだ著者が考察した虐殺に至る心理的なメカニズム。「凡庸なる悪」と評されたアイヒマンは役人として真面目に働き家族を大事に想う平凡な男だった。そう、貴方の隣にいるあの人や貴方自身のように。個を埋没させる社会的集団に属し、忖度と同調圧力に身を任せれば虐殺者予備軍の出来上り。彼らと我々を分け隔てるものは何もない。

2018/12/29

今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン

著者の主張は一貫してるのでともすればどれを読んでも同じ金太郎飴感がある。ひとつの原理原則を訴えるのにそうそう修辞のバリエーションはつけれないということか。虐殺という行為自体は残虐であっても、それを行う人の心に残虐なものがないという、善意でなされたことは悪意のそれよりタチが悪いということにも例外なし。お化け屋敷がなぜ怖いのか、という例えにも著者がずっと言っている「正体がわからないものへの恐怖」が示されており、つまりはわかり合えれば恐れることなし、ということですね。

2021/05/02

hk

75年にベトナムのサイゴンが陥落すると、隣国カンボジアの親米傀儡政権(カンボジアから北ベトナムへの支援ルートを遮断)は後ろ盾を失った。この機に乗じて、国王とポルポト派(クメールルージュ)は手を携えて政権を奪回。ここから原始共産制なるものへの回帰が始まった。キリングフィールドでは無垢な少年兵が虐殺の片棒をかつぎ、知識人(インテリ)は有無を言わさず一掃。女性は凌辱されたうえで殺害されるという有史以来何度も反復されてきた悲惨な光景がここにも出現した。 何故、人は虐殺を行うのだろうか? 本書はそれを考察している。

2018/12/06

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