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死ぬまでに行きたい海

死ぬまでに行きたい海

死ぬまでに行きたい海

作家
岸本佐知子
出版社
スイッチパブリッシング
発売日
2020-12-01
ISBN
9784884185435
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死ぬまでに行きたい海 / 感想・レビュー

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どんぐり

生まれてからいままで住んでいた街や、学校、会社のあった場所などを訪れ、その想い出から記憶をたどり、現在に重ね合わせる翻訳家のエッセイである。最初は、著者が会社勤めをしていた頃の「赤坂見附」。次いで、ボート小屋を背景に写っている少女のいた「多摩川」、通学で乗り降りした「四ツ谷」。ほかに全国でも珍しいアルファベット表記の「YRP野比」駅や、船のデッキにいるような「海芝浦」駅も出てくる。多くは東京とその周辺だが、その土地のことを知らなくても読むのに支障はない。→

2021/03/15

アキ

年を重ねると昔通った学校の周囲とか行きたくなるのは、岸本さんでもそうなのですね。超がつく程の出不精なのに、雑誌「MONKEY」でどこかへ行って見たままを書きたいですと自分の口が勝手に言ったことから始まった連載。お上品な中学・高校・大学の周囲は学生の頃見る視線と大人になってから見る視線が交錯しないのか、数十年経って街が変わったのか覚えているのは記憶なのか空想なのか。ルシア・ベルリン「掃除婦のための手引書」のような乾いた文章の風味が味わえるエッセイ集でした。ところで死ぬまでに行きたい海ってどこだったのですか?

2021/02/25

pohcho

「この世に生きたすべての人の、言語化も記録もされない、本人すら忘れてしまっているような些細な記憶。そういうものが、その人の退場とともに失われてしまうということが、私には苦しくて仕方がない。」と書かれていたが、忘れてしまいそうな些細な記憶をそっと読ませてもらったような、とても慕わしいエッセイだった。どこか幻想的で短編小説を読んでいるような趣もあり。かつて勤めた会社の近くを歩いていると、若かりし頃の自分の気配がついてきたり。バリ島旅行の話はぞわり。表紙の写真は上海土産で猫の形をした陶器の枕とのこと。

2021/01/12

kaoru

翻訳家岸本佐知子さんのエッセイ集。軽い気持ちで手に取ったが惹き込まれた。赤坂見附でのバブル期の会社員時代や上智大のキャンパスライフの描写には、東京という都市の持つある種の空虚さを感じる。父の故郷丹波篠山や上海旅行の思い出は鮮やかだが、「過ぎ去ったこと」への静かな哀しさが文章に滲み出ている。富士山や大室山への思い入れ、何ともおかしな幼稚園時代。初台に住んでいた時の危うい精神状態。『バリ島』にはオカルト的な不思議さも漂い、全体のトーンにどことなく彼女の訳書『掃除婦のための手引書』に通じるものを感じた。

2021/05/11

とよぽん

超がつくほどの、鬼がつくほどの出無精と自認していらっしゃる岸本さんのエッセイ集。「赤坂見附」に始まり、「上海」「丹波篠山」、幼少期から中3まで住んでいた「経堂」などに出掛けて得た見聞や記憶の中の場所、自分で撮った写真を挿みながらの妄想、異界? だが、これまでのエッセイと一線を画する悲哀や儚さも滲み出て、味わい深いものが多かった。ちょっと笑えるけれど切ない。タイトルからして、含みが・・・。

2021/03/17

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