なぜ悪いことをしてはいけないのか: Why be moral (叢書倫理学のフロンティア 9)
なぜ悪いことをしてはいけないのか: Why be moral (叢書倫理学のフロンティア 9) / 感想・レビュー
テツ
永井先生の部分を読みたくて友人から借りました。先生が多くの著書で説く〈私〉の存在をぼんやりとでも知ってから読むと、悪いことをしてはいけない理由は〈私〉は〈私〉の世界が美しく在ることを願うからということが何となく理解できる。(僕にとっての)〈私〉にはテツの幸福や利益など知ったことではない。ただただ〈私〉の世界を美しくするために、善くするためだけに行動するということ。理解とか納得とかを考慮しないとしても、この姿勢、この哲学は僕の中に容易く溶け込んでいく。
2019/10/03
なさぎ
タイトルへの答えを求めて読んだけど、肝心のそのズバリが載っているということはなかった。逆に言えば、これだけの文殊の知恵が考えてなお結論の一端も掴みがたい、というところに、一つの安心を覚える。冒頭にも書いてあるとおり、論者間での「ずれ」それ自体を体感する事に、この本、あるいは道徳というもの自体の妙があると思う。——個人的には永井氏の見解というか、その筆先に心打たれるものがあった。ニーチェの「血で書け」のごとく、表面上の論理を超えた部分での、言葉の力というものを感じる。
2022/06/23
shi 2
論集、というより論争集?本書によれば道徳は良い/悪い(好悪)でなく善/悪の規律、理由である。しかし、行為主体である『私』を軸に置いた場合、倫理道徳は実際のところ『利己的なもの』として現出される(?)、ただし自-他関係における倫理道徳の判断軸を自己への『実害のある/なし』に置くと、それは無限にエゴ的なものとして拡大していく。自-他関係のモラルは中立的であるべきだが、倫理道徳とは損得勘定での妥協点なのか?感情と切り離すのか?そもそも普遍化できるのか?わからない
2021/11/11
てぬてぬ
水掛け論にもほどがあるのでは……。
2016/12/09
オフィス派の宇宙図
論争のズレ具合が面白い。一番すごいと思ったのは永井さん(〈私〉とは永井均であることとは関係ないため、〈私〉の行動は永井均の利益のためではなくただ〈私〉の世界を美しくするために行われる)のだけど、一番共感したのは大庭さん(道徳は自分が自分であることの基礎条件のため『自分の利益』に先んじる)かな。
2014/08/26
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